札幌市電ループ化!すすきのの何を変えたか 冷めた市民の声が多い中で利用者数は増加?

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札幌市電の最新型車両、A1200形「ポラリス」(写真:うげい / PIXTA)

札幌市電は全線が札幌市中央区に属しているが、この中央区は札幌市10区の中でも特に近年人口の増加が著しいエリア。国勢調査によると、平成7(1995)年度の人口17万3358人から、平成27(2015)年度で23万7784人まで増えている。20年間の増加率は約37.2%と、札幌市の他の区と比べても圧倒的に高い。詳細な調査をしたわけではないので推測にはなるが、この人口増加の一定部分が市電沿線に転居してきたという見方は大きく外れてはいないだろう。

市電がループ化されることによる恩恵は、この沿線住民にとっては大きいものがある。例えば、市電東側の行啓通電停付近に住んでいる人が西4丁目電停のあたりに行こうと思ったら、これまでは市電のすすきの電停から歩くか、もしくは西側をぐるりと回るか、だった。

それでは効率がいかにも悪く、自家用車やバスを使うケースも少なくなかっただろう。それがループ化によって所要時間は10分近く短縮されている。こうした時間短縮効果は市電西側沿線でも同様だ。

市の交通網には大きな効果

札幌に住んでいない外の目から見ると、市電というとすすきののイメージが強く、せいぜい藻岩山ロープウェイへのアクセス路線といったところ。ただ、市電沿線は人口増加が進んでいる地域でもあり、そうした観点から見ればループ化によるプラスの効果は小さくない。

札幌は冬場になると雪に覆われる。狸小路商店街に足を運ぼうにも、地下街からでは階段かエスカレーターのみで、お年寄りや車いす使用者にとってはなかなか不便だ。市電を利用すれば、こうした難点は幾分か改善されるだろう。いずれにしても、延伸区間周辺で明確な効果は生まれていなくとも、札幌市の交通網という点から見れば大きな効果をもたらしているというわけだ。

今、全国各地でLRT(次世代型路面電車システム)導入の議論が進んでいる。札幌市でのこうした事例も、その検討材料として大いに参考になりそうだ。

鼠入 昌史 ライター

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そいり まさし / Masashi Soiri

週刊誌・月刊誌などを中心に野球、歴史、鉄道などのジャンルで活躍中。共著に『特急・急行 トレインマーク図鑑』(双葉社)。

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