東京・目黒区のとある病院は「今月、生まれた赤ちゃん」の写真を定期的にSNSにアップしています。ピアノを弾いている風の仕草の赤ちゃんがいたり、難しい考え事をしているかのような表情の子がいたりします。子どもの仕草やポーズに合わせて、その都度、産院の方が写真に愛あるコメントを書いていて、見ていてほのぼのとします。
先日、この産院がアップした「今月、生まれた赤ちゃん」の中に黒人の子がいました。これについてSNSでは「移民は帰れ」「日本で出産するな」「赤ちゃんなのに嫌悪感」といった心ないコメントが相次ぎました。
「産院が赤ちゃんの写真をSNSにアップするなんて……」という批判もありましたが、これについて産院は事前に親からの許可を得ています。「ことの本質」が「そこ」ではないことは明らかです。では「ことの本質」が何かと言えば、「赤ちゃんやその家族を中傷するSNSのコメントに何千といった数の『イイネ』がついていること」です。
つまり、今の日本には「生まれて来たばかりの赤ちゃん」に対して「無事、生まれてきてよかったね」という感情を持つ人ばかりではなく、肌の色が違う子に対して「早く帰ってほしい」「可愛いと思えない」といった感情を持ち、それを口にすることを厭わないと考える人がたくさんいることが明らかになりました。
「日本に黒人差別はない」と言い切る、視野が狭い
2020年、アメリカを中心に世界では黒人に対する暴力や人種差別に抗議するBLM運動(Black Lives Matter、ブラック・ライヴズ・マター、「黒人の命は大事」)が盛んでした。でも当時、日本では「日本には黒人差別がない」と言い切る人がいました。しかし今回の騒動を見ると、これが事実でないのは明らかです。
実は冒頭の産院は過去にも白人と見られる「外国人の赤ちゃん」または「外国にルーツを持つ赤ちゃん」の写真を複数アップしていました。でもSNSで炎上することはありませんでした。ところが黒人の赤ちゃんの写真をアップした途端に炎上したわけです。これは明らかに黒人に対する差別です。
筆者は差別的な発言の一部に目を通しましたが、発言が差別的なことはもちろん、視野の狭さも気になりました。そもそも「黒人の赤ちゃん」が「移民」だと決めつけるのは尚早です。
産院のある東京・目黒にはアフリカの国の大使館も複数ありますので、外交官の子どもかもしれません。黒人だからといってアフリカの子ではないかもしれません。日本に駐在するビジネスパーソンの子どもかもしれません。
親が日本国籍を取得している可能性もあります。子どもには日本にもルーツがあるかもしれません。もちろん移民の可能性もあります。


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