このように「いろんな可能性」があるわけですが、SNSを見ていると、このような「可能性」はまったく考慮されず、とにかく自分の不満をまき散らし、「帰ってください」「日本に移民は不要」「産むなら母国に帰国して産め」「日本の出産制度にタダ乗りするな」といった投稿が目立ちます。
昔と比べて「ニッポンの若者の海外への興味が薄れてきている」と言われています。一昔前は「外国に住んでみたい」「海外に留学したい」「外国で働きたい」と望む日本人が多くいましたが、現在の若い人の中には「内向き志向」が目立ちます。
「若者の海外離れ」の弊害
今回のSNSの「黒人の赤ちゃんに対するヘイト発言」の数々を見て、その弊害を見た気がしました。
人間、ある一定の期間を外国で過ごすと「自分がその社会でマイノリティーであること」に必然的に気付かされます。「韓国語を話す韓国人の中で日本人は自分1人」という状況だったり、「白人だらけの場に東洋人は自分1人」という状況だったり。そんな時に感じる不安、周りの人の態度などを見て「見えてくること」はやがてその人自身の人生の糧になります。
どこの国にもさまざまな性格の人がいること、海外にも日本人が多く住んでいること、そして海外在住の日本人のなかにも多様なバックグラウンドの人がいるということがわかるようになります。
留学や仕事、ワーキングホリデーなどで海外に行くことは「仕事のキャリアアップ」や「語学の上達」という面だけでなく、人間として視野が広がるという面でも大事なことだと思います。
ところが、日本を長期で離れたことがない人の中には「外国人」と聞くやいなや、現実とはあまり関係のない妄想を膨らませる人が一定数います。そして前述のように「自分が外国でマイノリティーになったことがない」ので、日本に住む外国人の立場を理解することをできずにいます。
産院が黒人の赤ちゃんの写真をSNSにアップした際、SNSでは「日本の出産制度にタダ乗りするな」という「意見」も多く見られました。しかし、日本に住み日本で働いている人は日本で税金を払っているわけですし、社会保険料も払っているわけです。病気になったり出産をしたりする場合に日本人と同じ権利が生じるのは当たり前であり、議論の余地はありません。
あたかも外国人が出産しているのは日本だけかのような錯覚をしている人が目立ちますが、当然ながら海外で出産する日本人は昔からいます。
例えばドイツで出産をすると、公的保険の場合、出産は基本的に無料です。分娩そのものだけではなく、妊娠してからの定期的な検査、出産前後の助産師によるケア、 入院費なども無料。分娩の際、医療上の理由から帝王切開が必要な場合も無料。日本人などの外国人であっても、保険料を納めていればドイツ人同様にこれらが無料です。
バブル期には多くの企業が海外に進出し、欧米諸国に駐在する日本人も多くいました。それに伴い海外で子どもができ出産する人もいましたし、もちろん今もいるわけです。


※ログイン後、コメント入力が可能です。