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欧州連合(EU)の欧州委員会と外務・安全保障政策上級代表は2026年10月20日、5年ぶりに北極戦略を公表した。
前回21年の「政策」から、「戦略」へと位置づけを引き上げた今回の文書は、安全保障をめぐる危機認識の高まりを背景に衛星監視の強化、海底ケーブルの監視・防護体制の強化、EU加盟国による砕氷船の共同調達や運用共有の支援などを具体策として打ち出した。
EUが北極戦略を公表:中国への強い警戒
EU外務・安全保障政策上級代表のカヤ・カッラス氏は、北極が「グローバルな大国間競争の最前線になっている」との認識を示した。EUの警戒対象はロシアだけにとどまらない。もう1つの深刻な懸念材料となっているのが、中国である。
カッラス氏は、北極における中国の戦略的野心が高まっていると指摘し、中国による港湾、鉱物資源、重要インフラへの投資には「慎重な精査が必要である」と強い警戒感を示した。
中国は、北欧諸国の港湾・通信インフラ・科学観測拠点の構築への進出を積極的に試みてきた経緯がある。平時の経済活動や学術活動であっても、海中データ収集や戦略拠点化といった軍民両用(デュアルユース)に転用されるリスクがある。そのため、EUは中国の活動への危機感を強めている。
また、資源供給やサプライチェーンの文脈においても、名指しこそ避けたものの、中国を強く意識した発言が見られた。カッラス氏は、欧州の競争力にとって、北極圏の重要鉱物、クリーンエネルギー、新たな貿易ルートが不可欠であると強調し、「信頼できるパートナーとのサプライチェーンを強化する」と述べた。
この発言から、重要資源における中国依存からのデリスキングを進め、欧州の経済安全保障を確保したいという狙いが読み取れる。

