「あなたの中国に対するイメージは?」
こう問われれば、「地域の平和と安定を脅かす国」「力による威圧で現状を変更しようとしている国」と回答する人が多いのではなかろうか。
2026年6月にストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が公表した報告書によると、中国は同年1月時点で推計620発の核弾頭を保有し、世界で最も急速に核戦力を増強している。
また、同年7月6日に豪州とフィジーの相互防衛条約(平和の海同盟条約)調印直後、中国は模擬弾頭を搭載した戦略ミサイルを原子力潜水艦から発射して、ソロモン・ナウル・ツバルの間、つまりはラロトンガ条約による非核地帯の海域に着弾させた。
平和の海同盟条約が多国間の地域安全保障枠組みを視野に入れていることから、中国による戦略ミサイル発射は南太平洋諸国に威圧をかけたものと思われる。また、中国は宇宙空間やサイバー空間での優位性確保に巨額の軍事予算を投じている。
レトリックを変えた中国、3月17日『人民日報』が示した意味
にもかかわらず、軍事力を振りかざしてアジア太平洋地域を不安定化させている中国が、日本に対して「新型軍国主義」のナラティブで批判している。
2022年の安保関連3文書改定をめぐり、中国は日本を「軍国主義の復活」「右傾化」と批判した。それが2026年には、「日本の新型軍国主義の妄動」と批判している。「復活」から「新型」への言葉の変更は、中国の対日レトリックが変わったことを意味している。
2026年1月6日、7日に中国外交部が用いた対日批判の言葉は、「軍国主義の復活」であった。しかし、同月9日の中国共産党(中共)機関紙『人民日報』の「鐘声」が「新型軍国主義は日本を再び深淵へ導く」というタイトルの評論を掲載し、日本の右翼が平和路線を放棄して新型軍国主義の執念に基づき日本を改造しようとしている、と主張した。
同年3月17日には、『人民日報』が「寰宇平」(かんうへい)の「日本の新型軍国主義はすでに現実的脅威、その拡大を阻まねばならない」というタイトルの評論を掲載した。
『人民日報』ではテーマや重要度によって署名が使い分けられている。「鐘声」は、国際時事問題についての中共の見解を「中国の声」として述べている。一方「寰宇平」は、国際安全保障や国際秩序などの大局的なテーマを論じている。「寰宇平」の記事は、一記者の私論ではなく、中共のハイレベルでの認識が反映されている。
つまり、「軍国主義の復活」「右傾化」から「新型軍国主義」へのレトリックの変更は、中共指導部の日本に対する警戒レベルが、従来路線の延長上ではなく、新たな段階にあることを示唆している。
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