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「台湾問題は取引材料」と放言したトランプ発言がもたらすもの、米中「建設的戦略安定関係」に潜む不安定化の構図

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米中首脳会談後の2026年5月15日、ホワイトハウスで報道陣に語りかけるトランプ大統領(写真:2026 Bloomberg Finance LP)
  • 三船 恵美 駒澤大学法学部教授、JFIR日本国際フォーラム上席研究員、RIPS平和・安全保障研究所研究委員

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世界が注目する中、2026年5月14日から15日にかけて、北京で米中首脳会談が開催された。表面的には「対等」で「友好的」なムードが演出された。しかし、今回の首脳会談は、強硬な2つの大国が互いの立場を相手国に受け容れさせるための探り合いの舞台であった。

この会談で、アメリカ大統領のドナルド・トランプ氏と中国国家主席の習近平氏は、3年間ほどの「建設的戦略的安定関係」の構築を中米関係の新たな位置づけとすることに合意した。「建設的な戦略的安定」は、トランプ氏の在任期間を見据え、米中が互いに歩み寄るための指針として提唱されている。

新たに提起された「建設的戦略安定関係」とは?

習氏は「建設的な戦略的安定」について、①協力を主軸とした積極的な安定、②節度ある競争による健全な安定、③相違をコントロールできる常態的な安定、④平和が期待できる持続的な安定であるべき、と首脳会談で説明している。

言い換えれば、「建設的戦略的安定関係」とは、米中の膠着状態を予測可能な範囲にとどめ、対立が制御不能になることを回避するように努めよう、という指針である。

首脳会談では、投資委員会や貿易委員会の設立、一部の関税引き下げ、アメリカ産の農産物や航空機購入などに両国が暫定的に合意した。しかし、その一方で、イラン情勢への対応などの重要問題に関する協議では大きな進展が見られず、成果は控えめであった。中国がアメリカへ譲歩を見せる際には、その見返りを期待する。中国がアメリカ側へプレゼントを送るならば、5月会談はそのタイミングではなかった。

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【2026年には4回の米中首脳会談が予定】

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