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EU「中ロの支配を許してはならない」中国のレアアース・インフラ投資や軍民融合の科学調査にEUが警鐘を鳴らす理由

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中国・青島港に停泊中の中国の砕氷船「雪龍2」(写真:CFoto/アフロ)
  • 三船 恵美 駒澤大学法学部教授、JFIR日本国際フォーラム上席研究員、RIPS平和・安全保障研究所研究委員
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中国による違法・無報告・無規制(IUU)漁業は世界各地で報告されているが、北極海においては21年6月に北極海沿岸5カ国(アメリカ・ロシア・カナダ・デンマーク・ノルウェー)と非沿岸国(EU・日本・中国・韓国・アイスランド)による「中央北極海における規制されていない公海漁業を防止するための協定(中央北極海無規制公海漁業防止協定)」(CAOFA)が発効している。

商業漁業が制限されている海域でEUが「コペルニクス」「ガリレオ」による監視強化や、「北極海ケーブルハブ」構築を進めている背景には、EUが漁業規制、海洋環境保護、AIS(船舶自動識別装置)の義務違反などの枠組みを「利用」して、EU加盟国の沿岸警備当局が中国やロシアの不審船に対して合法的に法執行活動を行える実効性を担保する狙いがあると言えよう。

実際、中国が北極海に派遣する砕氷調査船や極地コンテナ船、各種船舶は、潜水艦運用にも資する海底地形の調査や水深・音響データの収集を担っているとされる。中国が「民間」の学術・商業活動を装い軍民両用のデータ収集を進めていることに、EUは強い危機感を募らせている。

新戦略に中国は反発、中ロ首相会談では北極での協力拡大へ

EUが新北極戦略を公表した翌日の10月21日、中国国務院総理の李強氏は、ロシアのサンクトペテルブルクにおいて、ロシア首相のミハイル・ミシュスチン氏と中ロ首相定期会談を行った。

2026年10月20日、5年ぶりのEU北極戦略を発表するカヤ・カッラス氏(右)とEUの国際パートナーシップ担当欧州委員のヨゼフ・シケラ氏(写真:European Union, 2026 licensed under CC BY 4.0 )

北極を巡っては、両国は「中ロ首相定期会合委員会の北極海航路協力分科委員会」の枠組みでの協力拡大を確認した。

具体的には、北極海航路の貨物輸送量や運航便数の増加、極地用船舶の建造協力、北極協力を展開する中ロの企業に対する支援提供などである。また、中ロ両国は、北極評議会などの北極をめぐる多国間プラットフォームでの建設的な協力を展開し、平和と安定の維持、「北極横断輸送回廊」の役割発揮などで一致した。

これらの内容は、訪中したロシアの大統領補佐官兼海洋参事会議長であるニコライ・パトルシェフ氏と、中国共産党中央(党中央)政治局委員兼党中央外事工作委員会弁公室主任(中国外交実務トップの役職)の王毅氏が、10月12日に北京で行った高官会談で合意されていた。パトルシェフ氏は、大統領補佐官として造船業を監督する職位にある。

このように、北極を巡り中国とロシアが実務的な協力拡大を推し進めるなかで、EUは新たな北極戦略を公表したのである。

10月22日には、中国外交部は、定例記者会見におけるロシアの記者からの「北極圏における中国の存在感の高まりと中ロ協力関係を安全保障上の懸念事項として挙げたEUの北極戦略」、「EU外務・安全保障政策上級代表のカッラス氏による、中国とロシアが北極圏の航路を支配することを許してはならないとの警告」についての見解を問われた。

これに対して、毛寧報道官は、「冷戦思考によって陣営を分け、地政学的対立を煽ることは、北極地域の平和・安定・発展に資するものではない」と答えた。しかし、EU側からすれば、中国とロシアこそが冷戦思考で北極地域の平和・安定・発展を脅かしており、EUの新戦略はそれへの防衛的対抗策に他ならない。

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