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成果なき「破格の厚遇」、中国の圧力と歴史捏造に取り込まれたトランプ外交が中国の対日「新型軍国主義」批判を助長させる

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2026年9月の米中首脳会談、トランプ氏の「破格の厚遇」のウラに何があったのか(写真:2026 Bloomberg Finance LP)
  • 三船 恵美 駒澤大学法学部教授、JFIR日本国際フォーラム上席研究員、RIPS平和・安全保障研究所研究委員

INDEX

アメリカのドナルド・J・トランプ大統領は、2026年9月23~25日に国賓として訪米した中国の習近平国家主席を「厚遇」と「牽制」を織り交ぜてもてなした。

アメリカ軍アンドリューズ基地に到着した習氏を、トランプ氏自らが赤じゅうたんで出迎えた。ホワイトハウスは、歓迎式典でのフライオーバー(祝賀飛行)で、敵防空網を破る戦略爆撃機「B2スピリット」1機と輸出が禁止されている戦闘機「F22ラプター」4機を習氏の頭上で飛ばした。

トランプ政権による硬軟織り交ぜた「破格のおもてなし」

B2爆撃機は25年にアメリカがイランの核施設を攻撃した際に「バンカーバスター(地中貫通弾)」を投下したことで有名な機体である。「国賓へのおもてなし」というオブラートに包みながら、軍事的な牽制や警告を含んだメッセージであった。

晩餐会で演奏された1曲は、『ラ・ミゼラブル』の中で権力に対する民衆の抵抗や自由への要求を象徴する曲「民衆の歌(Do You Hear the People Sing?)」であった。

19〜20年の香港民主化運動における象徴的な歌であったことから、香港を含む中国では検閲対象となっている。この曲には権威主義体制に対する皮肉が込められている、と受け取られている。しかも、習近平が14年の「中仏国交樹立50周年記念式典」でヴィクトル・ユーゴーに深い共感を表明していることから、中国側はこの選曲に文句をつけられまい。

ただし、トランプ政権の習氏歓待は「厚遇しすぎた」との批判も少なくない。トランプ氏は、9月24日の晩餐会中に、「習夫妻を迎える特別な趣向」として、ボールルーム(宴会場:8月末時点ですでに3分の2以上の工事が進んでいた)の建設現場へ、赤じゅうたんの上を歩いて晩餐会出席者を案内するほどであった。

地下6階分の機密施設には防空壕、医療施設、最高機密に指定される軍事施設などが併設され、屋上にドローンポートを備える予定であることから、トランプ氏はこの建造物を「世界最高の軍事複合施設兼ボールルーム」と称している。この施設の見学ツアーには、厚遇し過ぎたと超党派の議員から批判があがった。

緊張緩和を演出するパフォーマンスが続いた一方で、今回の米中首脳会談には、「成果」と呼べるものが見当たらなかった。それでもあえて評価しようとするならば、「とりあえず対話は継続しましょう」という確認がなされた点だけであった。

レアアースやその他の重要鉱物に関連するサプライチェーンの分断や供給不足に関するアメリカ側の懸念事項については、「出荷量が適切な水準に戻ることを目指している」と成果文書に記載するにとどまっており、中国が歩み寄らなかったことが明示されていた。

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