有料会員登録
キャリア・教育 #近視は病気です

「魚に合わせて水を変える」 元コピーライターが全盲の息子をきっかけに考えた、社会のつくり方とは?

7分で読める
澤田智洋氏と窪田良氏
澤田氏が長男の誕生を機にたどり着いた発想とは?(写真はいずれも本人提供)
  • 澤田 智洋 コピーライター、世界ゆるスポーツ協会代表理事
  • 窪田 良 医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO
2/4 PAGES
3/4 PAGES

窪田:障害を本人だけの課題としてではなく、社会との相互作用として捉える必要がある、ということですね。その考えを、澤田さんはどのように具体化されているのでしょうか。

澤田:人と社会を、私は魚と水にたとえています。視覚障害のある息子を淡水魚とするなら、見える人を前提につくられた社会は海のようなものです。淡水魚に海で泳ぐよう求めるのではなく、その魚に合う川をつくればよい。環境を変えれば、魚はそのままでも泳ぎ始めます。

窪田:なるほど。その人に合った環境を提供するということですね。実際に、その考え方を形にしたスポーツの例はありますか?

テクノロジーでバリアをなくす

澤田:はい。例えば、心臓病のある少年は、継続して運動することが難しく、体育で休んでいると「サボるな」と言われた経験があったそうです。そこで、彼に合うスポーツとして、ミズノ株式会社と「500歩サッカー」を開発しました。

窪田:「500歩サッカー」は初めて伺いました。どのようなルールなのでしょうか。

『【NHKあさイチで紹介】マイノリティデザインー弱さを生かせる社会をつくろう』(ライツ社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

澤田:参加者全員が、歩数の残量を表示するデバイスを背中につけます。動くほど数字が減り、ゼロになると退場です。一方で、立ち止まって休憩すると歩数が回復します。心疾患のある人もない人も、参加者全員がこまめに休む競技ですから、特定の誰かだけが目立つことはありません。

窪田:参加者全員が、心疾患のある少年が置かれた状況を体験しながら、同じ競技に参加できる仕組みなのですね。

澤田:はい。今はスマートフォンやアプリを使えば、こうした仕組みを以前より低いコストでつくれます。20年、30年前なら大きな開発費が必要だったことでも、アプリを活用すれば数万円ほどで試せる。生成AIが発達した今は、魚に合わせて水をつくる可能性が、これまでになく広がっています。

窪田:テクノロジーを活用してバリアをなくしていく。その発想は、テクノロジーの利用法として非常に意義深いと感じます。

4/4 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

キャリア・教育

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数