窪田:私自身、仕事を通じてブラインドサッカーに関わる機会はありました。しかし、これほど多様な競技が生み出され、実際に多くの人が楽しんでいることには驚きました。競技をつくる過程には試行錯誤も多いはずで、詳しく伺いたいと思っていました。ちなみに、世界ゆるスポーツ協会以外にも、さまざまなプロジェクトを動かされていると聞きましたが、最近リリースしたものはありますか?
澤田:最近は視覚障害に関わるプロジェクトを中心に進めています。例えば、白杖歩行を支える「歩行訓練士」に光を当てる取り組みです。目が見えない状態で外を歩くには技術だけでなく、外出への不安という心理的なハードルもあります。視覚障害のある当事者に伴走する専門職ですが、全国的に不足しています。
窪田:現在、歩行訓練士の方は、全国でどのくらいいらっしゃるのでしょうか。
澤田:視覚障害のある人は約31万人と言われる一方、歩行訓練士は全国でわずか314人ほどしかいません。生成AIの時代に「人間にしかできない仕事とは何か」が問われるなか、福祉の現場には、人にしかできない役割が数多くあります。これまで注目されにくかった、しかし不可欠な存在を見つめ直す契機になればと考えています。
人を変える前に、社会の「水」を変える
澤田:私は高校時代をシカゴで過ごすなど、海外で暮らした経験があります。普段はよく話す自分でも、文化や言葉、宗教観に馴染めない場所では無口になることがありました。同じ人間でも、社会との相互作用によって振る舞いが変わる。そのことを子どもの頃から感じていました。
窪田:私も子どもの頃にアメリカで過ごした経験があるため、場所や文化との関係によって、人の振る舞いが変わるというお話には共感します。
澤田:息子が生まれたときも、同じことを思いました。障害がある人に対しては、本人の努力で乗り越えようという考え方が今も残っています。しかし、見えないことは、努力だけでどうにかできるものではありません。人が社会に歩み寄ることと同じくらい、あるいはそれ以上に、社会が人に歩み寄る必要があるのではないかと考えました。


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