選挙後(もしかすると投票前から)にトランプ氏が直面する最大の課題は、イラン戦争の泥沼から、どう抜け出すかだ。
トランプ氏は、勝利を宣言して撤退する方法を見つけることを目標にしてきた。しかし、ダールダー氏によれば、数カ月前にアメリカとイランの戦闘終結に向けた合意が目前にあったころと比べて、勝利の代償は上がっている。
「今はもっと難しくなっている」とダールダー氏は指摘する。トランプ氏は、大規模な軍事攻撃を行う可能性が高く、標的は、おそらく地下にあるイランの核施設「ツルハシ山(Pickaxe Mountain)」か、カーグ島(Kharg Island)の石油ターミナルになるだろう。
「トランプ氏は、そのどちらか、あるいは両方に、戦術核兵器を使うかもしれない」と、ダールダー氏は懸念する。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、アメリカの選挙後に、イランの体制転覆を狙った大規模攻撃を再開するよう、公然と求めている。
イランへのエスカレーションは、湾岸諸国への報復の拡大を招き、世界の石油・天然ガス市場をさらに揺るがし、化学品や肥料のサプライチェーンを混乱させるだろう。日本にとっては経済成長計画への深刻な脅威だが、トランプ氏はそれが引き起こしかねない広範な経済危機を気にしないかもしれない。
「勝利」を宣言したあと、トランプ氏は西半球に焦点を移せる。元NATO大使は、キューバでの権力掌握の試みが、標的リストの上位にあると予測する。「グリーンランドの問題も、まだ終わっていません」と、彼は考えている。
日本にとってのもう1つの悪夢――金正恩氏との首脳会談
トランプ氏が中間選挙で敗れた後の日本にとってのもう1つの悪夢は、トランプ氏と北朝鮮の金正恩総書記との首脳会談の可能性が高まることかもしれない。ただ、トランプ氏の最近の発言により、ほとんどの北朝鮮関係者は金氏にトランプ氏と会う動機はほとんどないとみている。北朝鮮の核保有国としての地位を認めることは、もはや会談を開く十分な理由ではない。
「アメリカが韓国から出ていくこと以外に、この会談でトランプ氏が動く理由は何もない」と、前出の国務省の元高官は語る。深圳で、中国とロシアがトランプ氏に対し金氏との会談を求めて、朝鮮戦争の終結を宣言し、在韓米軍の撤収を始めるよう促す可能性もあると、この元高官は言う。
「もし私が金氏なら、この件ではプーチン氏に代弁させ、平和の勝利だと宣言させる。トランプ氏がそれにだまされる姿が想像できる」


※ログイン後、コメント入力が可能です。