兵庫県宝塚市、安産祈願で知られる中山寺の門前に位置する阪急電鉄・中山観音駅で下車し、バスに揺られること約10分。到着したのは、中山台、中山桜台、中山五月台を中心とする約220ヘクタールの大規模住宅地である「中山台ニュータウン」だ。
実際に街を歩いてみると、中腹には庭を備えた戸建て住宅が並び、さらに上へ進むと団地やマンションが目立つようになる。歩いている人の姿はそれほど多くなく、幹線道路では車が次々と行き交っていた。
住宅だけでなく、学校や公園、商業施設なども整備され、一つの生活圏として発展してきた中山台。しかし、開発から半世紀以上がたった現在、この街は大きな転換点を迎えている。
人口減少、高齢化、そして将来的な空き家増加への懸念。かつて若い家族が暮らすことを前提につくられた街の仕組みと、現在の住民の暮らしとの間にズレが生まれているのだ。
そんな中山台で2025年、住宅大手のパナソニック ホームズがニュータウン再生に乗り出した。
人口が減り、高齢化が進む住宅地に、なぜ住宅会社が参入するのか。その理由を紐解くためには、まず中山台がどのような街として生まれ、半世紀の間に何が変わったのかを見ていく必要がある。
若い家族が移り住んだ「庭付き一戸建て」の街
中山台が生まれたのは、日本が高度経済成長期にあった1960~70年代。都市部への人口集中で住宅需要が膨らむなか、阪神間では民間企業も郊外の丘陵地を住宅地へと変えていった。宝塚市北東部、長尾山系の南斜面に広がる中山台もその一つだった。


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