そして、この議論をさらに進めると、次の問題に行き着く。
銀行、製造業、流通業など、社会生活の維持に不可欠な企業については、インターネットが長期間停止したり、大規模なサイバー攻撃を受けたりしても、最低限の業務を継続できることを社会的な要件とすべきではないか、というものだ。
これは単なる情報セキュリティー対策ではなく、インターネットへの依存をどこまで認めるかという、企業経営と社会制度の基本的な問題である。極めて困難な課題だが、人類はこの問題を避け続けるわけにはいかなくなったようだ。
われわれが直面する「新しい事態の始まり」
ただし、これは直ちにインターネット利用をやめるべきだということではない。金融・決済などの重要な機能について、攻撃を受けても社会生活を継続できる代替手段を確保することが、今後の重要な課題になる。
つまり、新しい事態の始まりだ。われわれはそれにどう向き合うかを決めなければならない。
従来のサイバーセキュリティーは、外部からの不正なアクセスを発見し、阻止することに重点が置かれてきた。しかし、AIを利用した攻撃では攻撃の速度・規模・手法の多様性が増す可能性がある。こうした状況では、攻撃をすべて発見して防ぐという考え方だけでは十分ではない。
ここで、従来のサイバーセキュリティーとは異なる発想が必要になる。今後AIによる攻撃が高度化し、侵入を完全に防ぐことが難しくなるとすれば、重要なシステムは外部から到達しにくくする設計が重要になる。


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