負担をかけるぐらいなら…
「本当は家に帰りたいんです」
入院中の進行がんの患者さんから、こんな言葉を聞くことがときどきあります。
痛みが強くなったら、夜中に急に具合が悪くなったら、食べられなくなったら、トイレに行けなくなったら……。こんなとき病院であれば医師や看護師が対応してくれます。しかし、家だと家族がすべて対応することになるのではないか。
「そんな負担をかけるくらいなら、病院にいたほうがいい」と、本人が望んでいるはずの「家に帰る」という選択肢が、いつの間にか消えてしまうのです。しかし、「無理だろう」とあきらめていた自宅での療養も、実際には可能です。肺がんの終末期だった女性、古澤さん(仮名、72歳)も、その1人です。
古澤さんは、肝臓を含め全身にがんが転移していました。病院では入院を継続するように勧められ、自宅で症状を和らげることや、家族が対応することは難しいと説明を受けていました。
それでも、家で最期を迎えたいという思いを持っていたご本人と娘さんは、“しろひげ”の在宅医療に託そうと連絡をしてこられ、筆者らが関わることになりました。


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