「区と国の間で行われたのは、それぞれが2社の不動産に鑑定してもらい、それに基づいた見積もりを出すという方法です。その結果、区が依頼した不動産から出てきた鑑定価格の平均額となる99億円程度で申し込みました」
しかし、最初の提示では交渉は成立しなかった。その後も、区は提示額を少しずつ引き上げ、2020年2~3月にかけて、計5回の見積もり合わせを行った。
「同じ条件でも、評価額に10~15%ぐらいの幅が出ることがあるということで、見積もりが不調で終わるたびに、鑑定額を段階的に引き上げていきました。でも、なかなか見積もりが合わなくて……。5回目は、高い方の金額に15%を上乗せした119億円で出しましたが、それでも成立しませんでした」
考えうる鑑定額の振れ幅の上限まで積んだ渋谷区。しかし、国が見込んだ売却額に届かず、見積もりを提出できる上限の5回を使い果たしてしまい、打ち切りとなったのだ。そして、同じ2020年9月、国はこの土地を留保財産とした。
国が示した価格と区の提示額には、どれほどの隔たりがあったのか。橋本氏によると、交渉が不調に終わった後も、国がどの程度の価格を想定していたのか、具体的な差額は公表されていないという。
「今後に影響してしまうので、国側の算出方法や価格は非公開なんです。だから、私たちとしては『ここまで積んでも無理だった』ということだけが分かっている状態です」
取得交渉が不調に終わった後も、区と国は土地の貸し付けについてのやり取りしていた。しかし、貸し付けの話もその後、立ち消えになったという。
渋谷区が土地を欲しがった理由
購入だけでなく、借り受けることも模索していた渋谷区。それほどまでに、この土地を必要としていたのはなぜなのか。


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