大皿にから揚げがたった1個ぽつんと盛られた給食や、小ぶりのウインナーが2本寂しく転がる給食——。SNS上に投稿された学校給食の写真をきっかけに「え、これだけ?」「あまりにも少なすぎる」と、驚きと批判の声が上がっている。
「こんな貧相な給食では子どもがかわいそう」「給食の時間が楽しくなくなってしまう」……こうした声は何より、子どもたちの笑顔と健やかな成長を願ってのものだ。一方で、「少なく見えても、必要な栄養価は充足している」という現場側の主張も、どこか言い訳のように受け取られてしまい、騒動をさらに大きくする結果となっている。
かつて保育園給食の現場に立ち、給食室の内部事情を知る筆者は、複雑な思いで一連のニュースを見つめている。なぜなら私自身、鶏肉のから揚げをメインにした日に「量が少なく見える」「もっと増やせないか」と直接言われた苦い経験があるからだ。
栄養価の基準を満たしているはずの給食が、なぜこれほど少なく見えるのか。基準自体を見直すべきなのだろうか――。食材費や光熱費、人件費の高騰が重なる現代において、給食現場が抱える葛藤と求められる対応について、管理栄養士の視点から紐解いていきたい。
「みんなで食べる」給食だからこそ、安心安全と残食ゼロの意識で見た目が減る
給食調理には安心安全のため「中心温度75℃・1分以上」の加熱調理や生野菜が提供できない(原則的に加熱する)といった、シビアなルールがいくつもある。そして十分な加熱によって、肉類や葉物野菜のかさが大幅に減ってしまうのは避けられない事実のひとつだ。
特に鶏肉のから揚げやソテーはその影響を大きく受ける。かつて保育園給食を作る立場にいた私のもとにも「から揚げが少なく感じる。1人1個増やせないか?」という声が届いたことがある。から揚げは縮みやすいうえにおかわりで争奪戦が起きるほどの人気メニューだ。ほかの献立に比べても物足りなさが際立ってしまう。 なんとかしてから揚げを増やせないか、ほかの献立の予算を削れないか、根菜と合わせて甘辛揚げにしたらどうか……と試行錯誤を重ねた日々が思い出される。


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