現状のDX化は、消費者に頼りすぎている?
そんな様子を見ていると、筆者は「DX化が持つ、本質的な課題」を感じた。利用客に倫理観がないと横取りの危険性がある。また、システム上は注文された品を管理できていても、利用客が仕組みを正しく理解できなければ、取り違えを防ぐのが難しくなってしまう……。
人手不足への対応として、配膳ロボットの活用が進むのは自然な流れだろう。しかし、利用客の倫理観や注意力に頼りすぎると、それはそれでトラブルの元になる。複数テーブルの肉を1度に運ばないなど、誤って取ることが起きにくい仕組みを店舗側がさらに工夫する必要があると感じた。
以前(25年2月)にも、横取りされてしまう“肉スティール問題” はSNS上で炎上している。翌月には再発防止策を打ち出したことが報じられ、当時もタッチパネル上で注意喚起すると発表されていたが、今回は、配膳ロボットの利用方法を記した紙が各テーブルに置かれていた。
また、筆者が来訪した店舗では、黒毛和牛と鴨肉を注文した際は、店員が直接席まで運んできてくれた。そのため配膳ロボットが運んできたのは、モッツァレラチーズを注文したときのみ。こういった点も、しゃぶ葉としては横取り防止対策の1つなのかもしれない。もっとも、結果的にDX化、省人化とは逆行しているのだが……。
なお、言うまでもないことだが、もし意図的に盗っているのであれば法律的にも倫理的にもアウト。悪質な横取りは、単なるマナー違反では済まない。もっとも倫理観に欠けた人の場合、もし店側が横取り行為を見つけて指摘したとして、「間違えました」と言い張る可能性もありそうだが……そういった可能性を含めて、どう設計していくのか。しゃぶ葉側が考えるべきことは少なくなさそうだ。
すかいらーくホールディングスで、3番手になっている「しゃぶ葉」
良くも悪くもSNSで話題になりがちな「しゃぶ葉」だが、業績は好調だ。運営元のすかいらーくホールディングスが8月13日に発表した26年12月期第2四半期(中間期)決算によると、売上収益は前年同期比9.7%増の2425億円、営業利益は20.9%増の169億円、中間利益は29.2%増の102億円と、増収増益を達成した。
しゃぶ葉の店舗数も順調に増加しており、26年6月末時点で331店舗を展開。「ガスト」(1211店舗)、「バーミヤン」(370店舗)に次ぐ、グループ内で3番目の規模となっている。
筆者が訪れた店舗も、平日ながらほぼ満席になるほどの盛況ぶりだった。配膳の効率を考えると、運び方を大きく変えるのは簡単ではないのかもしれない。
利用客への注意喚起だけでなく、そもそも他人の注文品を誤って取ることが起きにくい仕組みをつくれないか。業界を牽引する、最大手のすかいらーくホールディングスだからこそ、DX化の課題を解決してくれるような工夫を生み出してくれることを期待したい。


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