「引退した選手が、この先も東京グレートベアーズの事業に関わっていけるほうがいい。そのためには、チームが大きくなって、事業も多角的に広げていかないといけないと思っています」(野瀬さん)
目指すのは「ニューヨークヤンキース」
事業の拡大は、すでに始まっている。野瀬さんが責任者を務めるスクール・アカデミー事業に加え、今年は台湾と香港でバレーボール教室を開き、子どもからプロまで幅広い参加者に、東京GBの人気選手が直接指導した。また、新規事業としてピックルボールスクール「TOKYO PICKLES(東京ピックルズ)」も設立。スポーツが苦手な人や経験のない人でも楽しめる場を創出している。
久保田さんが見据えるのは、グローバルに事業を展開するチームだ。ニューヨーク・ヤンキースのキャップのように、東京GBのロゴを人々が誇らしく身につける日を目指す。
スクール・アカデミー事業の責任者を務める野瀬さんには、人生の目標がある。
「子どもの『将来なりたい職業』のランキングに、バレーボール選手が入ったら、僕は笑顔で死んでいけると思っているんです。1万人が入るアリーナでプレーする選手たちを見て、グレートベアーズのU―15の子たちが『あそこでプレーしたい』と言う。少しずつ近づいている気がします」
10月17日、東京GBは5シーズン目の開幕を迎える。2027年5月の閉幕までに、東京で開かれるホームゲームは22試合。今季は守備に定評のある新監督を迎え、夏場はディフェンスの強化に時間を割いてきた。古賀さんは、まだ会場に足を運んだことのない人に、こう伝えたいと話を締めくくった。
「バレーボールの面白さは、ボールを落とさないことに尽きます。体を張ってつなぐ姿を見てほしい。会場に入る前から帰るまで楽しいので、来ていただければ、絶対に楽しませる自信があります」
企業がスポーツチームを持つことは、短期的にもうかる事業ではない。だが、人を育て、取引先や地域を巻き込みながら、企業そのものの輪郭まで変えていく。ゆっくりと、岩に染み入るように。
廃部の危機から生まれたチームの5シーズン目が、まもなく始まる。


※ログイン後、コメント入力が可能です。