この湘南の暮らしを愛し、「湘南3部作」(『制服のころ、君に恋した。』 『天国の郵便ポスト』 『幸福のパズル』)の舞台にもしてきた。一方で、八ヶ岳の家、茨城の古民家、横須賀のアトリエと、思いつきや縁に導かれて家を増やし、拠点は4つにのぼる。
心から愛する家があるのに、なぜ拠点を増やし続けるのか。話を聞くなかで繰り返し出てきたのは、「やりたくなっちゃう」という言葉だった。住まいも、趣味も、恋愛も、世間の“すべき”ではなく、自分の“やりたい”に従って選んできた人だと思った。
その選び方にこそ、年齢を重ねても自分を更新し続けるヒントがある。
住み替えのきっかけは、枯渇の予感
住む場所とモチベーションの関係に折原さんが気づいたのは、湘南に移り住む前、東京での暮らしのなかでのことだ。
21歳でデビューしてから10年ほどは、仕事一筋だった。暮らしていたのは東京の中目黒。飲食店が多く、ほどよく緑もある街が大好きで、半径500メートルほどの中で12年に5回も引っ越した。
仕事も遊びも夜型で、描いて、飲み歩いて、昼間は寝る。ヒット作を連発し、スポットライトを浴びながら、折原さんは内心、危機感を抱いていたという。


※ログイン後、コメント入力が可能です。