前述したように、飲食店ではさらに、樽の生ビールを提供するための設備や炭酸ガス、保管、配送などのコストが加わる。居酒屋が売っているのはビールそのものだけではない。客は生ビールを飲むために店を訪れ、料理を注文し、店員のサービスを受け、一定の時間を店内で過ごす。つまり居酒屋の生ビールの価格には、飲み物そのものだけでなく「店で飲む」というサービス全体のコストが含まれている。
ここで経営者に必要なのは、酒税改正をどう自店の経営に生かしていくかという視点になる。その減税で下がった分を利益として残すのか。それとも販売価格に反映して客数を増やすのか。あるいは、ビール以外の商品を含めた価格を見直して客単価を引き上げるのか。酒税改正は、飲食店に経営判断を迫る一つの材料だ。
酒税改正を受けて値下げする外食チェーンも…
チェーン店であっても生ビールにかかるコストは変わらないため、本来ならばそこまで値下げはできない。それでも、今回の酒税改正を受けて酒税改正キャンペーンなどと銘打ち、生ビールを値下げする外食チェーンはでてくるはずだ。なぜか。
外食チェーンがビールを値下げする理由は、ビールそのものの利益ではなく、ビールを「集客商品」として考えることができるからだ。期間限定で生ビールを1杯100円で提供したり、1杯の価格を半額にしたり、酒税改正後に生ビールの価格を下げているチェーン店も少なくないが、これは酒税改正でビール需要が高まっている消費者の動向を踏まえて、来店のきっかけを作る施策と考えたほうがわかりやすい。
外食チェーンの場合、生ビール単体で利益を最大化する必要はない。生ビールを通常価格より100円安くすることで客が店に来てくれれば、その客がいくつか料理を注文し、さらに2杯目、3杯目のドリンクを注文するかもしれない。結果として、生ビール単体の利益は減っても、1回の来店全体で見た売り上げや利益を確保できる可能性がある。居酒屋にとって生ビールの安売りは、集客のための商品なのだ。


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