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ビール酒税改正も「居酒屋のビールは安くならない」理不尽のワケ…大手4社「ガスボンベ値上げ」「カルテル疑惑」の影響とは

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ビール
(写真:編集部撮影)
  • 山路 力也 フードジャーナリスト/ラーメン評論家/飲食店アドバイザー
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しかし、個人経営や中小規模の居酒屋や飲食店では、なかなかそうはいかない。個人店などの場合は、値下げによって来店客が増えなければ、単純に利益が減るだけだ。むしろ個人店が大手チェーンと同じようにビールを値下げして価格競争を始めれば、体力を消耗する可能性がある。

むしろ個人店の場合は、大手と価格で競うのではなく、個人店ならではの戦い方をすべきだろう。「この料理を食べたい」「この店主と話したい」「この店の雰囲気が好き」といった、価格以外の来店理由を作ることが重要になる。チェーン店は「安さ」を武器にできるが、個人店は「その店でしか得られない価値」を武器にできるはずなのだ。

酒税改正分を値下げに使う店と、利益確保に使う店

今回の酒税改正によって、居酒屋の生ビールが一斉に安くなる可能性は低いだろう。むしろ今後の居酒屋や飲食店では、ビールの価格を「値下げする店」と「値下げしない店」の違いが明確になっていく。

値下げする店は、酒税改正を集客の機会として利用する。生ビールを安くすることで来店のハードルを下げ、料理や追加注文につなげる。いわば「ビールで集客し、店全体で利益を取る」というモデルだ。一方、値下げしない店は、減税による原価低下を利益として確保し、経営体力を高める。そのうえで料理や接客、空間など、価格以外の価値を高める。

これはどちらが正しいという話ではない。店舗の規模、客層、客単価、立地、原価率、来店頻度などによって、その店や業態にとっての最適な戦略は変わるからだ。

今回の酒税改正は、すべての飲食店にとって同じ意味を持つわけではない。同じ9.10円の減税でも、それを値下げに使う店と、利益確保に使う店がある。そしてその違いこそが、それぞれの店の経営戦略を映し出す。

家飲みとの競争が激しくなる中で、自店の価値を見直し、ビールを集客商品として使うのか、利益商品として守るのか。生ビールの価格をどう設定するかは、飲食店にとって経営上の重要な分岐点なのだ。

【写真】カルテルの疑い――公正取引委員会が独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで強制調査した大手4社

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