「ノーベル賞を取ったというのに、キャンパスは驚くほど静かでしたね。いつもどおりでした」。東京理科大学理学部物理学科の学生(21)はそう語る。
硤合名誉教授の研究テーマは「不斉自己触媒反応」で、「ソアイ反応」と呼ばれている。右手と左手のように、鏡に映した関係にありながら重ね合わせられない分子の片方を増やすという研究である。生命の起源や、効率的な医薬品合成の原理に役立つとされる。
ただ、受賞後の記者会見を聞いても、筆者のような文系出身の人間には、正直、何を言っているのかわからなかった(なお、10月19日にオンラインイベント「高校生のためのノーベル賞解説」が開催される)。
今回注目したいのは、研究内容そのものではない。硤合名誉教授が所属する東京理科大学だ。同大は知名度はあるものの、その実態はあまり知られていない。
筆者が取材して感じるのは、独特の「理系職人気質」だ。研究の話になると、とことん専門的になる。それは研究への真剣さの裏返しでもある。教授への取材を進めるうちに、不思議とワクワクしてくる。
8学部33学科の理工系総合大学
東京理科大は、8学部33学科を擁する理工系総合大学だ。
神楽坂(東京)、野田(千葉)、葛飾(東京)、長万部(北海道)にキャンパスを構え、2031年には創立150周年を迎える。医学部や獣医学部はなく、理系の学部が中心だが、あまり知られていない経営学部もある。受験では「早慶上理」という大学群の一角を占める難関私大だ。
塾関係者によれば、経営学部は現在こそ難化したが、かつては文系志望者にとって入試難度が手頃で、就職実績もすこぶる良い“穴場”として機能していたという。


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