年収については知っています。しかし、「貯金って今どれくらいあるの?」と聞くと、夫ははっきり答えようとしません。
妻には、それが不思議でした。夫は結婚するまで実家暮らし。高級ブランドを買うわけでもなく、車やギャンブルにお金をつぎ込むタイプでもありません。
「それなりに貯めているんじゃない?」
そう思っていたからです。それなのに、なぜ金額を言いたがらないのか。何度か聞いても話をそらされ、妻の中に疑念が膨らみます。
「これ、絶対なんかあるな」
ある日の深夜。妻は寝ている夫の顔を使ってスマートフォンの顔認証を解除しました。もちろん、夫婦であっても相手のスマートフォンを無断で見ることは、褒められた行為ではありません。ただ、妻には「何かを隠されている」という思いがありました。
銀行アプリを開いた妻は、驚くことになります。毎月、同じ相手に「4万円」が送金されていたのです。
送金先は――夫の実家でした。
毎月「4万円」の正体は実家の住宅ローンだった…
翌朝、妻は夫に「これ、何のお金?」と問い詰めました。
夫は事情を説明しました。実家には住宅ローンが残っている。しかし両親はすでに定年退職しており、返済が厳しくなった。そのため、自分が代わりに毎月4万円を支払っている――というのです。
月4万円なら年間48万円。夫の年収は約450万円です。その中から、毎年50万円近い金額が実家の住宅ローンへ流れていました。
妻にとってショックだったのは、金額だけではありません。「子どもは2人欲しい」と話して結婚したにもかかわらず、その将来設計に大きく影響する支出を、夫は一度も伝えていなかったのです。
しかも夫は、こう言いました。
「でも、あと5年で終わるから」
妻はさすがに腹が立ちました。
「5年って、その間に子ども作らないの?」
何も考えていなかったのでしょうか。夫はポカンとしたのち、「なるほど……」とだけつぶやきました。
33歳の2人にとって、5年は決して短い時間ではありません。子どもを2人望むのであれば、出産や育休、その後の教育費も含め、まさにこれからお金が必要になっていく時期です。
しかし夫の中では、「実家のローンはあと5年だから」という話になっていました。


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