囲いに沿って歩き続けると、道端に干からびた虫の死骸や糞のようなものを見つけた。夏だし、人気の少ない通りだから仕方がないと思ったが、ネズミの死骸を見つけたときは、さすがに驚いた。
3丁目側の敷地の端は行き止まりで、人通りもほとんどなかった。建物の陰になっているためか日中でも暗く、新宿駅から徒歩圏内にあるとは思えないほどの静けさに包まれていた。
奥へ進むと、フェンスに2枚の掲示があった。左は「駐輪禁止」の看板で、「本地は国有地です」とあり、関東財務局東京財務事務所の名前が記されている。右の貼り紙には、「不法投棄・喫煙について 関東財務局へ通報済」とある。フェンスの手前には、ペットボトルや缶、レジ袋などのごみが置かれていた。
さらに進んでいき、敷地の端まで行くと、捨てられたとみられる自転車や原付もあった。
なぜ、この広大な土地は新宿駅から徒歩圏内にありながら、使われないままなのか。現場を後にし、この土地がどのような歴史をたどってきたのかを調べることにした。
新宿徒歩圏内に潜む「約9500m²」巨大国有地の価格は…
まず、ネットで「千駄ヶ谷住宅」で検索してみた。検索結果には、廃墟系のサイトや個人のブログ、解体の知らせを書いた投稿などが並んだ。
次に、現場の看板にあった「関東財務局東京財務事務所」という名前を手がかりに、財務省と関東財務局の公表資料をたどった。資料にある地番は、渋谷区代々木3丁目19番1外。面積は9471.25m²で、坪に直すと約2865坪になる。東京ドームの建築面積の、約5分の1にあたる。
金額にするといくらになるのか。東京都渋谷区代々木3丁目の2026年の住宅地の公示地価は、坪単価約473万円(1m²あたり約143万円)となっている。9500m²×143万円=135億円だ(※実際には用途地域「商業」のため、あくまで簡易的な計算)。
もちろん、これはあくまで公示価格の平均値をもとに算出したものである。実際の土地の購入価格(実勢価格)はより高くなることが多いものの、厳密な計算ではない。ただ、いずれにせよ、売れば途方もなく大きな金額になる土地であることは間違いない。


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