「一番の解決策は、まず買いすぎないことです」
食品ロス問題ジャーナリストで、office3.11代表の井出留美さんはそう話す。買い物では「単価が安い方が得」と考えがちだが、使い切れなければ食品もお金も捨てることになる。
食べ物は生活必需品であると同時に楽しみでもあり、つい多めに買ってしまう。コロナ禍をきっかけにまとめ買いをするようになった家庭もあるが、管理できる量を超えると食品ロスにつながる。
では、無駄をなくすためのポイントは何だろうか。
「買い物前に冷蔵庫を確認し、食後や軽く何かを口にしてから店に行くようにする。小さな工夫が、無駄な出費と廃棄を同時に減らせます」(井出さん)
家庭で最も捨てられているのは、食べ残した総菜や賞味期限切れの加工食品ではなく、実は野菜や果物、肉、魚などの生鮮食品だ。「生鮮食品はきちんと使い切っている」と思っていても、実際には使い残しや買い過ぎによる廃棄が少なくない。
流通経済研究所が2025年に行った「食品ロス削減に関する消費者意識調査」では、廃棄された食品のうち「生鮮食品(野菜・果物・肉・魚など)」が38.7%と最も多かった。
主な廃棄理由は「保存方法が適切でなく傷んでしまった」「買ったことを忘れていた」で、どれくらい食品を捨てているか分からないとの回答も44.3%に上った。
生鮮食品のロスには、世代による違いもみられる。立命館大学などの研究チームによると、家庭系食品ロスは若い世代ほど少なく、世代が上がるにつれて多くなる傾向がみられた。
年間1人あたりの家庭系食品ロス量は、20代以下の世帯で16.6キロだったのに対し、70代以上の世帯では46.0キロと、3倍近い差があったという。
内訳をみると、世代が下がるほど調理食品などの「食べ残し」の割合が大きくなり、20代以下では43%を占めた。一方、食べられる部分まで過剰に捨ててしまう「過剰除去」は世代が上がるほど割合が大きくなり、70代以上では野菜や果物など生鮮食品の「過剰除去」が50%を占めていた。
冷凍野菜を活用する
野菜については、「丸ごと買う方が節約になるし、エコでもある」と考える人は多い。しかし、その常識が当てはまらない場合もあると井出さんは指摘する。少人数世帯では、割安感につられてキャベツやレタスを丸ごと買っても、使い切れずにダメにしてしまうことがあるからだ。
井出さんは「食品ロスを減らすという観点では、冷凍野菜やカット野菜を上手に活用する方が合理的な場合もある」と話す。
カット野菜は割高で不経済、冷凍野菜は手抜きというイメージもあるが、食べ切れなかった野菜を捨てることを考えれば、必ずしもそうとは言えない。特に一人暮らしや少人数世帯では、必要な量だけ購入する方が結果的に家計にも環境にもやさしい。

