中小企業は、多くの人々に知られていないことを嘆く前に、まずは自分たちの周りにいる人たちに、十分知られることが必要、ということです。
企業を取り巻く人々は、経営学では「ステークホルダー」と呼ばれます。
しかし、大企業と中小企業では、その実態が大きく違います。
大企業になるほど、顧客、株主、取引先、従業員など、企業を取り巻く人々の数は増え、顔の見えない相手も多くなります。
一方、中小企業では、その大半が、取引先、金融機関、地域の人々、商工会議所、行政、従業員やその家族など、日常的に顔を合わせ、会話をする人で構成されているのです。
中小企業がこの違いに気づかないまま経営を続けていると、すれ違いが増えて、信頼していた相手を失うことにもなりかねません。
そこで私は、中小企業の「顔の見える人々で構成されるステークホルダー」を、あえて「リアル社会」と呼ぶことにしました。
そして、中小企業のPRを考えるとき、この「リアル社会」を起点にしてみたらどうだろう、と考えました。すると、多くの経営者からこんな声が返ってきました。
「それなら、できる気がする」
「タイパやコスパは苦手だけれど、アナログなコミュニケーションなら得意です」
「いつもの会話を、少し意識するだけならできそうです」
私は、この反応に大きな可能性を感じました。
AIにはできない、リアルな信頼関係づくりを
企業PRでは、プレスリリースやSNSなど、「外へ広げる」ことばかりが注目されます。
しかし、中小企業には、その前にやるべきことがあるのです。
それが、自分たちのすぐそばにいる人たちを、もう一度見つめ直すこと。
親しいはずの相手が何を考え、何を求め、どんな人とつながっているのか。それを知らないまま、「自分たちのことを知ってほしい」と一方的に発信してばかりいるから、誰にも「知ってもらえない」のです。
これは、人間関係の原則と同じです。
自分のことを知ってもらうためには、まず相手を知らなければなりません。
私が1000社を超える中小企業と向き合うなかで見つけたのは、そんなシンプルな原則でした。
これは、AIには決してできない、リアルな信頼関係づくりです。
身近なところから段階的にコミュニケーションを積み重ねていくことが、やがて広い社会につながって、「知られている会社」をつくっていくのです。


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