ハードルの高い盆栽の世界に楽に入り込める
もう何年も前から、盆栽のことが気にかかっている。昔はまったく興味がなかったのに、気がつけば「なんとなく、いいな」と思うようになっていたのだ。
だからいろいろ知りたいと思っていたのだが、なんとなく難しそうなイメージがあったのも事実。
考えすぎに決まっているのだが、「すっと楽に入り込めるような“入り口”があればいいのになあ」と感じていたわけである。
そんな状態がずるずると続いていたからこそ、『教養としての盆栽』(依田 徹 著、東洋経済新報社)を目にしたときには「これだ」と感じた。
写真も多いから眺めているだけでも楽しめそうだし、なにより難しさがない。というわけで、無理なく盆栽の世界の入り口付近に到達できた(ような気がした)のであった。
改めて盆栽をじっくり見れば、小さな樹木でありながら整然と梢を並べ、腰をかがめて根元のあたりから幹をのぞき込むと、年数を重ねた樹皮はただならぬ凄味を見せています。実際に盆栽の中には、数百数年という年数を生きる樹さえあるのです。
小さな鉢の中で長い歳月を生きる、不思議な日本の園芸「盆栽」。本書では盆栽の育て方ではなく「ながめ方」について、皆さんにお伝えしていきます。(「はじめに」より)
著者は、平成22(2010)年にさいたま市大宮盆栽美術館が開館したときの学芸員だった人物。開館準備期間を含めて3年半にわたり、盆栽と関わってきたのだという。
当時の博物館業界では盆栽に関する蓄積がなかったため、解説文や音声ガイドの原稿の書き方、植木鉢(盆栽界では「盆器」とも呼ぶらしい)の年代の判断の仕方など、さまざまなことが手探り状態だったそうだ。
盆栽美術館を退職後は、それらの研究をまとめた書籍『盆栽の誕生』(大修館書店)を刊行したことがきっかけとなり、文化庁から「文化創造アナリスト」という肩書で招聘されることになったのだとか。
現在もいくつかの委員会で、盆栽に携わっているようだ。


