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なぜ世界の富豪は「日本の園芸」に熱狂するのか?書評家も感嘆 難解そうな世界への入門の書『教養としての盆栽』

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複雑な曲線美が美しい松の盆栽の幹
なぜ世界の富豪は盆栽に惹かれているのでしょうか?(写真:もふもふいちばん/PIXTA)
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ただし、ここで「盆栽」と「鉢植え」の区別を気にする必要があるようだ。

鉢植えも盆栽と同じく、鉢に植えて育てる植物。とはいえ、チューリップやハーブの鉢植えが盆栽かというと、「それはちょっと違うのでは?」ということは素人にもわかる。

盆栽にあって鉢植えにはない大きな差、それが時間をかけて手入れをし、鉢の上に一つの景色を生み出していくという要素です。たとえば、フウチソウ(風知草)などの草類を植えた、草物(くさもの)盆栽というジャンルがあります。

こうした草物であっても、植木鉢の中で年数を重ねることによって、複雑な表情が生まれて風格が出てくるのです。盆栽界ではこのように変化した草物を、「おっ、このフウチソウ。ずいぶんと持ち込んだね」などと表現して褒めたりします(盆栽界では年数をかけて育てることを「持ち込む」と言います)。(18ページより)

逆に盆栽と呼ぶのが難しいのが、江戸時代に流行した古典園芸であるアサガオ。

夏の風物詩として親しまれているが、一年草であるため蔓(つる)ごと一度枯れ、翌年にはまた種まきからはじめるため、「持ち込み」はできないのだ。

同じことはサボテンの鉢植えなどにもいえるそうだが、つまりは生きた樹木を相手にしつつ、時間をかけて形を作っていくのが盆栽だということなのだ。

名木は山で探した「山採り」に多い

盆栽は鉢植えと違って種から育てることが少なく、普通は苗木などから育てることになる。

盆栽用の苗木を畑で生産している専門の農家もあり、有名なのは香川県高松市の鬼無(きなし)と埼玉県川口市の安行。両者ともに松の苗木の生産地で、盆栽産業の拠点とさえ呼ばれているようだ。

大宮盆栽美術館には貴重盆栽第一号に指定されたカリンの名木があります。こちらは昭和戦前期には、東武鉄道を経営していた初代根津嘉一郎が所持し、戦後には元首相の佐藤栄作、その実兄である岸信介などが所持しました。このカリンの盆栽などは、苗木から育てた名木の代表格となっています。(21ページより)

しかし盆栽界でも名木となると、その多くは苗木から育てたものではない。山などの険しい土地で、小さなまま歳月を経て育ったような樹木に価値がつくわけである。

いわばレアな樹木なので、それらは人が苗から育てた樹にはない、予想外の枝ぶりをしているのだろう。

“山から採ってきた盆栽”は「山採り」と呼ばれているそうだが、野性味を活かしながら、時間をかけて盆栽に仕立てるのだから、マニア心を刺激するのも当然だ。

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