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「65歳でタイミー始める」ASDの子を持つ父が《スキマバイト》に、決意の裏にあった"息子の大学合格"からのまさかの借金

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取材に答える息子の敦さん。話すことを事前にノートにまとめていた(写真:筆者撮影)
  • 浦上 早苗 経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員(コミュニケーションマネジメント)
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主治医やカウンセラーの勧めで、中学、高校は全寮制の学校へ進んだ。そこでも衝動を抑えられず、突然歌い出したり、寮を脱走して9キロ離れた駅まで走っていったり。

「敦が自分を制御できなくなると、面倒見のいい先生たちがドライブに連れ出してくれたりして。本当に愛をもって支えてもらい、学校の温情で何とか卒業できました」

学業は壊滅的で、教科指導をしないコースに在籍していた。だが敦さんは数学に強い興味を示し、1が並ぶ通知表で数学は5段階評価の5。本人の強い希望で大学入試に挑戦し、数学と生物の2科目受験で首都圏の大学に合格した。

田中さん一家は、妻と2人の息子の4人家族。写真右は田中さん息子の敦さん(写真:田中さん提供)

敦さんの大学進学は、田中さんにとって望外の成果だった。

「うれしくて、『おかげさまで』と焼き印を入れた煎餅を特注し、お世話になった方々に配りました。大学に入れるなんて思っていなかったから、これで安泰だって親子ともども舞い上がりました」

順調な学生生活が暗転

敦さんが進学したのは、発達特性のある学生へのサポートを掲げ、臨床心理士による定期的なカウンセリングや生活・学習面の支援などが受けられる全国でも数少ない大学だった。

手厚いサポートの下、敦さんはサークルに入り、友人に誘われて単発バイトも始めた。稼いだお金で遊園地に行ったり、旅行を楽しんだりした。

あれほど手がかかり、将来を案じ続けてきた敦さんが大学で勉強し、友達をつくり、アルバイトまでしている。田中さんは「やっと息子の居場所が見つかった」と安堵した。

とりわけ、アルバイトを通じて世の中の役に立っているのがうれしくて、敦さんに「どんどん働いたらいい」と勧めた。

今振り返れば、勉強、サークル、アルバイトとマルチタスクを抱えていた敦さんのキャパオーバーを心配すべきだった。だが当時は「大学のサポートもあって表面的には落ち着いていたので、油断してしまった」という。

敦さんは大学3年生になると急に単位が取れなくなった。留年が決まり、かつてのような問題行動が増えた。そして大学5年生だった2020年2月、父に暴力を振るい、措置入院を余儀なくされた。大学は中退せざるをえなかった。

「敦から『お父さんにバイトを頑張れと言われたことがプレッシャーになって生活が崩れた』と責められました。ショックでした」

田中さんは肩を落とす。

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