Beatsは今年で創立20周年。ラッパーのDr. Dreと音楽プロデューサーのジミー・アイオヴィンが共同設立した。「ミュージシャンがスタジオで体験する音楽を皆に」という発想で生まれた。大型のオーバーヘッド型のヘッドホンを作り、耳の部分には大きく、Beatsの「b」をあしらったロゴを入れた。このアイコニックなデザインは世界中でヒットした。同社のフラッグシップである「Beats Studio」シリーズは、これまでに3000万台以上を販売したという。
Beatsは音質以上にマーケティングに力を入れた会社でもある。巨大なオーバーヘッド型のヘッドホンは「自宅内で使うもの」もしくは「スタジオで使うもの」というイメージが強かった。しかし、同社はスポーツ選手やセレブリティに製品を使わせて、「あらゆるシーンでヘッドホンを使う」ことをアピールした。目立たないイヤホンではなく、頭に大きなヘッドホンをつけることはトレンドとなり、ある種のファッションアイコンになっていった。
現在はどのオーディオメーカーも、若者を軸に据えたカラフルなヘッドホンを作るようになった。それだけでなく、音にこだわったハイエンドの製品であっても、自社やブランドのロゴをあしらったり、特徴的なデザインを強調したりするようになっている。どのメーカーのヘッドホンをつけているのかが、ある意味で個性を演出する道具になっているのだ。
アップルの「AirPods Max」は、その1つと言える。音質や機能の評価も高いが、現行製品である「AirPods Max 2」は8万9800円と価格も高い。しかし、それを若い層も買っている。アーティストなどが使っているのを見て、デザイン面を評価しているからだ。
フィットネス中もつけられて「イヤーパッドで個性演出」できるヘッドホン
「ヘッドホンをファッションアイテムにする」というトレンドに関して、Beatsは間違いなくマーケットリーダーだった。だが、Beats自身が、ヘッドホン自体の使われ方について変化を感じている。それが、冒頭で紹介した、コステロ氏の発言だ。
確かにヘッドホンは、幅広く受け入れられ、ファッションアイテムになってきた。結果として生まれたのが、「スポーツ中でもヘッドホンをする」という流れだ。小さなイヤホンではなく、フィットネスやジョギングの最中でも大きなヘッドホンを使う。そうしたシーンでも良い音で音楽を聞きたい、というニーズがあるのと同時に、フィットネス中でも自分を演出したい、というニーズが高まっているわけだ。


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