そして、私が最も強調したいデジタルシフトのメリットは、これらによって創出された時間を、役員が本来最も注力すべき、組合員に直接会って対話する活動(オルグ)に充てられるようになることです。
「オルグもアナログな活動で、デジタルシフトに反するのでないか?」と思う人もいるかもしれません。しかしデジタルシフトは、アナログなコミュニケーションを軽視するものでは決してありません。
むしろ、本当に価値のあるアナログなコミュニケーションの時間(オルグ)を最大化するための、必要不可欠な手段です。オンライン会議システムを使って行うのではなく、直接対話をしに行くことに価値があります。
「予算配分」にも劇的な変化が起こる
紙の機関紙の印刷や発送、アンケートの集計といった、これまで多くの時間を費やしてきたノンコア業務をデジタルで自動化する。
そうして生まれた時間を使えば、役員は一人でも多くの組合員の職場に足を運び、顔と顔を合わせて対話し、生の声を聴きに行けます。デジタルシフトは、その大切な時間を役員の手に取り戻してくれます。
デジタルシフトに成功した労働組合では、組織運営そのものに構造的な変革が起きています。その最もわかりやすい例が、予算配分の劇的な変化です。
ある労働組合では、紙の機関紙を完全に廃止し、スマートフォンアプリでの情報発信に切り替えました。また、これまで全国から役員を集めて行っていた定例会議をオンラインに移行しました。
その結果、これまで当たり前のように計上されていた「印刷費」「郵送費」「交通費」「宿泊費」といった、コストを削減することができました。
そして、この労働組合は、削減によって生まれた数百万円の予算を、組合員の未来への投資、すなわち「eラーニングサービスの法人契約費」や「資格取得支援金」といった教育予算にスライドさせました。
レクリエーション予算を削ることなく、デジタルシフトによって新たな教育予算を創出したこの事例は、多くの労働組合にとって大きなヒントとなるはずです。



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