Series 12とUltra 4に搭載された新しいHealth Sensing Systemによって、心拍と、心臓が打つ間隔のわずかなゆらぎ(HRV=心拍変動。自律神経の状態を映す指標とされる)をより高い頻度で測れるようになり、中でも「Recovery HRV」という新しい指標が加わったことが大きい、というのが同氏の説明だった。活動・バイタル・睡眠を束ね、その日の体がどれだけのことをこなせるかを明確なスコアと推奨として提示する。それが準備度だという。
特徴的なのは、1日1回で固定されないことだ。昼寝をした、日中の心拍が大きく動いた、といった変化に応じて、1日の中でもスコアが更新される。朝に「無理せずに」と出ても、午後に状況が変われば数字は動く。
一方で制約もある。準備度は新しいセンサーを前提とした機能で、過去のApple Watchでは利用できない。既存ユーザーにとっては買い替えが前提になるという、身も蓋もない条件である。健康機能をソフトウェア更新で古い端末にも広げてきたAppleの従来の印象とは、やや異なる。
5秒ごとの心拍計測を支える新技術
準備度の土台にあるのは、センサーの物理的な作り直しだ。心電図用の電極は、本体の大きさを変えないまま表面積を広げて肌との接触を改善した。心拍を読み取るために光を受け取る受光部はリング状に並べ替えられ、光をより効率よく捕まえる。光を出すLEDは大型化と省電力化を同時に行い、体を動かしている最中も含めた終日の測定精度を高めたという。
数字で見ると変化は分かりやすい。Series 12は終日、5秒ごとに心拍を測る。従来のSeries 11以前は5分ごとで、しかも「静止していること」が条件だった。頻度にして60倍であり、動いている間も測れるようになった点が実際には大きい。雪かきや荷物の運搬のように、運動として記録されないが心拍は確実に上がる活動の消費カロリー推定が改善する、というのがAppleの説明だ。
心拍のゆらぎについては、目的の違う2種類を別々に測る設計になった。新しい「Recovery HRV」は、体を休めている状態で最短5分ごとに測る。従来は2時間ごとだったので、その日の疲れやストレスのような短期の変動を捉えるのに向く。
もう一方の「overall HRV」は、不整脈の通知が導入された頃から使われてきた指標で、心臓や血管の健康状態といった、より長い目で見たサインを拾う役割を担う。


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