果たして「すぎ」や「ひのき」といった艦名は、海上自衛隊の艦船として妥当だろうか。いわば、「雑木林」のような名前を軍艦につけてよいものだろうか。
海上自衛隊は「さくら」級哨戒艦の導入を進めている。これは海洋監視に最適化した軍艦である。2027年3月末までには4隻が防衛省に引き渡される見込みだ。
しかし、「さくら」級の艦艇整備には不徹底が目立つ。監視用としては及第点だが、それ以上を追求していない。将来を見据えた外洋活動への対応、自動化の水準、多用途性に関しては今ひとつである。
何よりも、その「おざなり」な名前の付け方だ。艦名には国民の結縁を進める力がある。それゆえに選りに選り抜かねばならない。それを哨戒艦では「さくら」「たちばな」「すぎ」「ひのき」とした。これは艦名付与をも、おざなりとする懈怠(けたい)である。
中国艦隊をどこまでも監視・追尾する
哨戒艦とは、どのような軍艦なのだろうか。簡単に言えば、中国艦隊を監視・追尾するための軍艦のことだ。東シナ海から太平洋に進出する中国艦をどこまでも追いかけるのが仕事である。
その目的は嫌がらせだ。公然とつきまとい、一挙一投足を監視する。その圧迫感で中国海軍の活動を牽制する役割である。専門用語では「シャドーイング」というが、「ストーカー行為」といったほうが実態に近い。「さくら」級は、そのための専門艦である。
今までは、その目的のために護衛艦を投入してきた。外洋の荒天に強く、速力や航続距離で優れておりストーキングには向いている。
それが中国海軍の活動量増大で困難となった。日本の護衛艦数では、やりくりは難しくなった。そのうえ、本来の任務遂行や訓練さえも圧迫する事態となったのだ。
その解決策が「さくら」級の導入である。多数建造できる安価な哨戒艦であり、監視任務を肩代わりする。それにより護衛艦を本来任務に戻す発想である。

