監視には申し分ない。船体サイズとエンジンから長期間、遠距離までのストーキングに対応している。おそらくは巡航20ノットで6000マイル以上、つまり時速36キロメートルで1万キロメートル以上である。
経済性も高い。建造費は90億円と護衛艦の2割未満だ。逆に燃費が2倍は優れている。ざっとした計算だが、同一距離を同一速力で移動する際の燃料消費量は、5000トン級護衛艦の4割5分となる。人件費も乗員数30人と、護衛艦と較べると2割だ。なお、30人なら乗員は2組作れる。出港するたびに交代すれば、乗員の疲弊も大幅に改善する。
以上の点を踏まえると、哨戒艦に致命的な問題はない。計画時に寄せられた批判も、いずれも的外れである。
軽武装は問題とはならない。計画当時から「機関砲が1門だけでは中国軍艦と戦えない」との批判があった。だが、その任務は監視であり、交戦ではない。当然だが、戦時には監視追尾は実施しない。
軽武装でも存在だけで十分な圧力に
それでも充分な圧力となる。中国側からすれば日本近海でつねに位置を把握されている。これは「日本は哨戒機や戦闘機でいつでも攻撃できる」状態にあると言える。
速力も不足はない。発表当初の最高20ノット、時速36キロメートルには「中国艦隊に振り切られる」との批判もあった。ただ「さくら」級の最高速力は25ノット、時速46キロメートルである。これは中国海軍主力の054A/B型護衛艦と同じなので、振り切られる事態はない。
実際には25ノット以上を出せる。海自は最高速力を意図的に低く発表する。エンジン選択の際に馬力に余裕を持たせるので、最高速力は上振れする。ただ、正直に発表すると「なぜそんな高速力が必要か」が問われる。だから公表値は低めにしている。
有人艦としての整備も妥当である。「監視は無人機で実施すべき」との批判は今でも根強い。ただ、無人機では軍艦と同じ仕事はできない。乗員の必要性は高いのだ。
仮に中国軍艦が日本領海で無害ではない通航を行ったとしよう(実際には中国は無害通航しかしていないが)。日本は当然退去を求めるが、それは海軍士官に指揮された日本軍艦によって対峙させたうえで要求することが好ましい。遠隔操作の無人機では、相手を従わせる力がどうしても弱くなる。
体当たりも、平時は有人艦にしかできない。主権を守るうえでは重要な手法である。ただ、衝突する側も人命を危険に晒さなければ体当たりすることは許されない。それを無人機で実施すれば一方的な危害行為、つまり「攻撃」となってしまう。

