このn型とp型を組み合わせることで、トランジスタという部品を作ることができます。トランジスタを使うことで、電気を「通す」「通さない」を人間の意思で切り替えられるようになります。
これがスイッチという概念の原点であり、半導体産業とは「シリコンに何を、どこに、どれだけ混ぜるか」を精密に制御する産業だと言えます。スマホやパソコンの中のCPUでは、トランジスタのオン・オフの組み合わせを使うことで二進数の計算を可能にしているのです。
なんと今ではトランジスタは、数nm(ナノメートル)のサイズにまで小型化されており、最新のスマートフォンには数十億個以上のトランジスタが詰め込まれています。
ちなみに、このトランジスタを発明(トランジスタ効果を発見)したショックレー、バーディーン、ブラッテンの3氏には、1956年のノーベル物理学賞が贈られています。
また、ノーベル物理学賞つながりで言えば、2007年受賞の「巨大磁気抵抗効果(GMR)の発見」(発見自体は1988年)も、現代社会に大きな影響を与えていると言えます。GMRとは、非常に薄い磁性体の層を重ねた構造に磁場をかけると、電気抵抗が大きく変化する現象です。
このGMRが応用されているものの例としてはハードディスクがあります。
映像や音楽の出力を可能にしたGMR
皆さんは、ハードディスクにいろいろな映像の情報や音楽の情報が書き込まれるのを不思議に思ったことはありませんか?実は、ハードディスクのキラキラした側の表面には、磁気(磁石)の情報が微細に埋め込まれており、この情報を巨大磁気抵抗効果(GMR)を使って読み出すことで、映像や音楽の出力を可能にしています。
この技術が実際に製品に使われたのは1997年、IBMが世界初のGMRを用いた読み取り機(GMRヘッド)を搭載したハードディスクを商用化したときでした。GMR導入後の約10年で記録密度はおよそ10倍に跳ね上がり、2000年頃には世界で生産されるHDDのほぼすべてにGMRヘッドが採用されました。
容量が増えれば単位容量あたりのコストは下がるので、大容量ストレージが急速に安価になりました。今日、私たちがスマートフォンの写真を何千枚もクラウドに保存したり、動画をストリーミングで何時間でも視聴できたりするのは、1988年に発見された物理現象が、9年後に製品として結実した結果なのです。


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