これらの技術の進歩は、2020年代に入り、AI時代へと向かうことになります。
一昨年2024年のノーベル物理学賞は、ホップフィールドとヒントンに、「人工ニューラルネットワークによる機械学習を可能にする基礎的な発見と発明」に対して贈られました。
AIの基盤となっている技術
人工ニューラルネットワークは、人間の脳の神経回路網を模倣した数理モデルです。入力されたデータからパターンを学習し、予測や認識などの処理を自動で行う、現代のAIや機械学習の基盤となっている重要技術です。この技術を確立するために独自のアプローチを試みたのが両名です。
まずホップフィールドが取り組んだのは「不完全な情報から正しい記憶を引き出す」という連想記憶に関する研究でした。彼は、連想で得られる記憶と物理学における低エネルギーの状態を紐づけるモデルを作り、ニューロン同士の相互作用をエネルギーの地形として表現したのです。不完全なデータを入力すると、システムが自動的に近くのエネルギーの低い状態へ転がり落ち、正しい記憶へたどり着く。これが「ホップフィールド・ネットワーク」の原理の概略です。
ヒントンはこの考え方をさらに発展させ、統計物理学の手法を取り入れながら、人間が明示的なルールを教えなくても、大量のデータから特徴を自動で抽出できる仕組みを作り上げました。これがいわゆる、機械学習における「学習」という操作になります。
昨今のAIブームは、半導体などの技術面の進歩と、ニューラルネットワークの学習理論の確立が、両輪で行われた結果です。
AIの学習や推論は、膨大な数値計算の繰り返しです。この計算を高速に処理できるハードウェアがなければ、理論は机上のものにとどまります。AIが一般的に使えるようになった背景には、GPUや高性能メモリといった半導体の進化があるのです。



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