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うつ病の家族や同僚、パートナーに寄り添い続けるうち、支える側まで心身の不調に陥ってしまう――。感染症のように病気がうつるわけではありませんが、うつ病の人に寄り添い支える立場の人が、その責任感の強さから、自分まで「うつっぽく」なってしまう。心の距離が近づきすぎた結果、静かに消耗していく人が増えています。
精神科医として、うつ病患者や支える人たちの相談に数多く携わってきた『
もらいうつ』の著者、髙橋一志氏はこの現象を「もらいうつ」と名づけ、休養も配慮も得られにくい支える側の苦悩に光を当て、共感疲労のメカニズムや、倒れないための関わり方を豊富な事例とともにひも解いています。
ここでは『もらいうつ』から一部を抜粋・編集して、「誰かを支えよう」として疲れ果ててしまった人のケースを紹介します。
ある企業の人事担当者の悩み
私は、都心にある企業の産業医をしているのですが、そこの人事担当者から次のような相談を受けました。
うつ病で休職していた接客業務担当の30代の女性が、診断書を提出してきた。その診断書には「接客以外の仕事なら復職可能。復職に際しては、職場の変更を要する」と書かれているが、彼女に接客業務以外の仕事をさせるわけにはいかないので困っている、というのです。
つまりその女性は、ソムリエやビューティーアドバイザー、ウェディングプランナーなどのように、専門的な知識でお客様の望みにあった商品やサービスを提供する専門職として入社したので、接客を伴わない、人事や経理の仕事をさせるわけにはいかない。
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