しかし、誰かがうつ病になった場合、何とか犯人を探し出してそれを排除すれば、うつ病は治ると思われがちです。
つまり、上司のパワハラに問題があると判断してしまうと、部署異動をすれば解決する。過重な労働が問題だと判断してしまうと、残業をなくし定時退社をさせれば解決する。あるいは同居する姑との関係が問題だと判断してしまうと、別居すれば解決する……、こう考えてしまうのです。
ところが、それは表面上の原因にすぎません。実際には、表面上の原因以外にもうつ病発生の原因が複数あるのです。
たしかに何か1つの原因でうつ病になってしまう場合もありますが、ほとんどのケースは、いくつもの原因が重なり合って、その人はうつ病を発症しています。もちろん、表面上の原因を排除することは重要です。しかし、それを排除すれば解決するという簡単な問題ではないのです。
原因と結果の順番が真逆の場合も
うつ病の犯人さがしをしないということに関連して、もう1つ付け加えておきます。
産業医として面談をしていると「うつ病の原因は上司からのパワハラなんです」という話がよく出てきます。しかし、職場の人間関係をよく理解している人事担当者に詳しく話を聞いてみると、原因と結果の順番が真逆だったということもあります。
どういうことかというと、上司はその部下の能力に見合った業務を命じていたが、いままでできていたことができなくなった。なぜだろうと思いつつも、厳しい言葉で指導をするようになった。しかし上司は、人格を否定したり、罵倒したりはしていない、といいます。


※ログイン後、コメント入力が可能です。