こうした関係により、カラオケショップJOYSOUNDの運営を縛る構造が隠れていた。
メーカーであるエクシングからすれば、「カラオケ館」や「カラオケまねきねこ(以下、まねきねこ)」といったチェーン店は、自社の商材を導入してもらう取引先にあたる。しかし、オペレーターであるスタンダードとしては、まねきねこなどは競合そのものだ。要は、スタンダードの立場から見ると、「自社店舗のライバル=親会社の上客」というジレンマを抱えていたわけだ。
このような環境下では、積極的な出店が、親会社の取引先との関係悪化にもつながりかねない。小林社長は「出店のため優良な物件を見つけても、親会社の顧客に配慮する形で、物件取得を断念する機会もあった」と振り返る。出店判断に一定の制約があったことに加え、コロナ禍が重なることで、店舗事業への投資は一段と抑制されていった。
コシダカ傘下で始まった再興への道
カラオケショップJOYSOUNDの低迷には、グループ内の兼ね合いから「思うようにアクセルを踏み切れない」事情があった。
そこで店舗事業の取得に乗り出したのが、まねきねこを運営する「コシダカHD」だ。同社は2025年9月に、JOYSOUND70店舗の事業を吸収分割によって承継すると発表、11月1日より運営権を取得している。
新体制になったことで、スタンダードは店舗事業がコシダカHD傘下に移ったことで、積極的に投資を行えるようになった。それは同時に、通信カラオケ機器の直営店としての役割を終え、屋号を“JOYSOUND”として掲げ続ける必要性がなくなったことを意味する。
ここでようやく、カラオケショップJOYSOUNDが、今後減少していくという真意も理解できる。JOYSOUNDの店舗自体を畳むのではなく、コシダカHDのもとでリブランディングを進めていくと明かしているわけだ。
そして2026年6月に、リブランディング1号店となる『カラオケ GLANZA京橋店』が開店。かつてJOYSOUNDだった店舗を、リニューアルして再始動させた形だ。
新業態のコンセプトは「30代以上をターゲットに据えた、ハイエンド寄りのブランド」と小林社長。実際に足を運んでみると、9フロア全20室の構成で、全室オーディオテクニカ製の高音質マイクを搭載している。部屋によってはJBL製のフロアスピーカーを導入し、ライブ感のある重低音が響くなか、高音質な環境でカラオケを楽しめる。
他にも、ハイボールサーバーをはじめ酒類を用意した“宅飲み感”のある定額制の部屋や、ペンライトやリングライトを常設した“推し活や配信に特化”したルームを設けた。付加価値を打ち出しつつ、定員の7割程度の人数で案内することで、ゆったりと上質な空間を提供していく狙いだ。


※ログイン後、コメント入力が可能です。