大切なのは、強い運動を1度おこなうことではなく、無理のない有酸素運動を継続することです。歩く時間を少し速歩きに変えるだけでも、習慣化への第一歩になります。そしてこの知見が強く示唆しているのは、運動は「疲れてからでも追い込むもの」ではなく、「脳を育てる習慣」として、「睡眠を削らずに継続するもの」だという視点です。
睡眠中に脳は老廃物を除去し、記憶を整理・定着させます。睡眠を犠牲にして運動時間を確保しても、その恩恵の多くを相殺してしまいかねません。運動した日ほど、回復までをひとつのセットと考えましょう。休息を確保することで、次の運動も無理なく継続しやすくなります。
回復力をつくることは、運動と休息を天秤にかけることではなく、両方を丁寧に守ることなのです。
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筋トレは実行機能の改善にも役立つ
最近、優先順位がうまくつけられない。何かを判断するのに、以前よりも時間がかかる。こうした変化は、脳の「実行機能」が落ちてきているサインかもしれません。
実行機能とは、計画を立てたり、邪魔な情報を無視したり、複数の選択肢のなかから正しいものを選び出したりする、脳の司令塔のような働きのことです。そしてこの力が、筋トレによって改善し得るという研究が注目を集めています。
ブリティッシュコロンビア大学のリウ=アンブローズらは、バンクーバーに暮らす65〜75歳の女性155名を対象に、12カ月にわたる無作為化対照試験をおこないました。参加者は3つのグループに分けられ、「週1回の筋力トレーニング」「週2回の筋力トレーニング」「週2回のバランス&ストレッチ(対照)」のいずれかを1年間続けました。
実行機能の測定には、ストループ・テストという認知課題が使われました。これは、「赤」という文字が青いインクで書かれているとき、文字ではなく色の名前を答えさせるテストです。脳が「わかっていること」と「実際に見えること」の矛盾を処理しなければならず、判断力や注意のコントロールを鋭く測れる課題として広く使われています。


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