結果として、週1回・週2回の両筋力トレーニンググループの実行機能スコアが、対照グループよりも有意に向上しました。また、驚くことに、週1回の頻度でも効果が見られました。「毎日やらないと意味がない」という思い込みを覆す発見といっていいでしょう。
レジスタンス運動が前頭葉の処理回路を刺激
筋トレが脳に効くメカニズムはまだ解明途上ですが、サンパウロ連邦大学のカシルハスらや西南大学のチェンらの研究では、筋肉を動かすことで脳への血流が増加し、神経細胞の成長や維持を促す物質(IGF-1インスリン様成長因子1など)の分泌が高まることが関係していると考えられています。
また、負荷に抵抗しながら動作を制御するレジスタンス運動は、注意の切り替えや反応の抑制に関わる脳の回路の働きを変えていく、と報告されています。
筋トレでは、ただ力を出すだけでなく、姿勢を保ち、動く順番を意識し、決めた回数まで動作を続けます。こうした一連の動きには、注意の維持や判断、動作の抑制といった実行機能が使われます。
また、少しずつ負荷や回数を調整しながら継続することも大切です。無理に強度を上げるより、正しい動作を意識して続けるほうが、身体への負担を抑えながら習慣にできます。週1回からでもよいと考えれば、運動経験のない人にも始めやすいでしょう。
ただし、この研究は女性のみを対象としており、男性やほかの年齢層への結果がそのまま当てはまるとは限りません。「みんなで集まって体を動かすこと自体が効いたのでは」という考えも浮かびますが、この研究はそこに関しては、答えを用意していました。
比較対照のグループも週2 回、ストレッチやバランスの教室に同じように通っていたのです。通うことや人と会うことの効果は差し引いたうえで、筋トレの側にだけ成績の伸びが出た、というのがこの研究の要点です。いずれにしても、1年間の継続的な介入で実行機能の客観的な改善が確認されたという事実は、筋トレを「脳のトレーニング」として位置づけるじゅうぶんな根拠になるといっていいでしょう。



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