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小学校で1人1台の端末が配られ、家庭でも学習アプリを使うことが当たり前になった。それでも多くの親が、心のどこかで引っかかりを抱えている。「画面ばかり見せていていいのだろうか」「デジタルの学習は、結局ひとりぼっちの学びなのではないか」。
文部科学省のGIGAスクール構想により、日本の小中学校では2021年度までに1人1台端末の環境がほぼ整備された。それから5年が経ち、議論の焦点は「配ること」から「どう使うか」へと移っている。だが家庭に目を移すと、親の側の迷いはむしろ深まっているように見える。
この迷いに、意外な角度から答えをくれたのが、子ども向け学習アプリ「トドさんすう」「トド英語」を生み出した開発者夫婦だった。アメリカ・シリコンバレーに本社を置くEnuma, Inc.のCEOスイン・リー(Sooinn Lee)氏と、CTOコンホ・リ(Gunho Lee)氏である。両アプリは日本でも累計200万ダウンロードを突破している。
2人は韓国出身で、大学1年で出会い、同じゲーム業界を経て2012年に夫婦でEnumaを創業した。スイン氏はゲームデザイナー出身で、2017年にアショカ・フェロー、2020年には世界経済フォーラムと連携するシュワブ財団のソーシャル・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれた社会起業家だ。コンホ氏はゲームエンジニア出身で、カリフォルニア大学バークレー校でコンピュータサイエンスの博士号を取得している。
世界1500万人の子どもに教材を届けてきた当事者である。にもかかわらず、取材で彼らの口から出たのは「1人1台が正解とは限らない」「AIは子どもを1人にする道具ではない」という、テック企業の経営者らしからぬ言葉だった。
「個別最適化」という言葉の落とし穴
AIを教育に使うと聞いて、多くの人が思い浮かべるのは「一人ひとりの学力を測り、その子に最適な問題を出して効率よく学ばせる」というイメージだろう。日本でも「個別最適な学び」は、2021年の中央教育審議会答申に登場して以来、教育政策の中心的なキーワードになっている。
この方向で先行しているのが、アメリカの非営利教育団体Khan Academyだ。同団体は2023年3月、OpenAIのGPT-4を基盤としたAI家庭教師「Khanmigo」を発表し、パートナー校での試験導入から段階的に展開してきた。生徒一人ひとりの理解度に応じて対話形式で指導する仕組みだ。Duolingoも同じ2023年3月に「Duolingo Max」を発表し、AIが解答の誤りを個別に解説する「Explain My Answer」などの機能を実装した。いずれも「1人の学習者にAIが最適に寄り添う」という設計思想である。


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