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入院できる病院もない《廃墟の残る、人口1007人の町》で全戸にタブレット配布…「ほぼ全員が反対した」政策を推進した結末

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笠置町
自然が多く、人けのない笠置町内の様子(写真:筆者撮影)
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とはいえ、用事もなく住民の家を訪ねるわけにはいかない。そこで、タブレットの操作について問い合わせる機会を作ることを思いついたのだ。

「住民が操作に困ったときに『画面がこんなんなったらどうしたらええの』と電話がくるでしょう。それを口実になら職員が家まで足を運べると思ったんです」

住民が役場に出向くのではなく、役場が住民のいる場所へ出向く。「かかりつけの自分担当の職員」ができるイメージだという。訪問を重ねて信頼関係ができれば、住民の本音や困りごとも自然と聞けるようになる。将来的には安否確認の機能にも発展させたいと考えた。

そう説明会で何度も説いたところ、当初ほぼ100%「いらない」という声は変わり、最終的には7割の住民が導入に賛成した。

「オセロが黒から白に変わる感覚でしたね」

高齢化率50%超「これ、日本の最先端でしょ」

自然が多い笠置町内の景色(写真:筆者撮影)

ここで山本さんが繰り返し口にしたのが、「日本最先端の町」という言葉だ。

人口減少、少子高齢化、医療・介護の不足――笠置町が直面する課題は、数字にもはっきり表れている。2026年7月現在、人口は1007人。西日本で最も人口の少ない自治体だ。ピークだった1947年の3344人と比べると、すでに7割近く減少した。

高齢化率も57.21%(2026年7月)を超えている。医療機関は町内に診療所が2つあるだけで、入院できる病院はなく、救急や専門的な治療は町外に頼らざるをえない。2050年の推計人口は367人とされ、「消滅可能性」のある自治体の一つに挙げられている。

「これ、日本の将来像に見えてきませんか……最先端でしょ」

山本さんは弱みにしか見えなかったものの捉え方を変えて「最先端」と表現したのだ。日本の多くの町がこれから将来通る道を、一足先に歩んでいるのが笠置町というわけだ。それは、解決策を先に模索できるということでもある。

タブレットは2026年7月時点で全世帯のうち95%への配布を終えている。当初想定していたのは、操作に戸惑う住民からの「わからない」という問い合わせを口実にした訪問だった。しかし実際には、その声は思っていたほど多くなかった。むしろタブレットを使いこなす住民のほうが目立つという。

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