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入院できる病院もない《廃墟の残る、人口1007人の町》で全戸にタブレット配布…「ほぼ全員が反対した」政策を推進した結末

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笠置町
自然が多く、人けのない笠置町内の様子(写真:筆者撮影)
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「住民の方と話せる部署に変更してほしいとかなり伝えたんですが、かなわずでした。この時はもう二度と公務員になることはないと思いましたね」

48歳で八幡市役所を退職し、東京の固定資産税関連会社への転職も決まっていた。その矢先、市役所の組合から京都府議選への出馬を持ちかけられた。

「議員になることはまったく想像していなかったですが、東京の会社からは『落ちたらまた拾ってあげるよ』と言われたんで、出馬しました」

山本さんは当選、一期(2019〜2023年)を務めた。府議会で質問の機会は年に数回ある。山本さんはそのほとんどを、笠置町の課題を訴えることに費やしたという。育った町でもないのに、なぜそこまでしたのか。

「定期的に父の実家に来てたんで、祖父母とのいいイメージばかりが記憶にしっかり残ってます。でも今は人口も減って、交通、病院などインフラも整っておらず、消滅可能性自治体と言われてるんです。議員となった以上、ここを何とかしないといけないという思いが一番にありました」

しかし2期目の選挙では、153票差で落選。支持者からは「4年後を目指してほしい」と懇願され、国会議員の地元秘書として次の機会を待つことにした。学童保育の夏休み給食問題や、コロナ禍の子どもの受け皿問題など、地元の困りごとを国に届ける仕事にやりがいを感じていた。

すると2024年2月、山本さんの元にまた新たな打診が届く。今度は笠置町の有権者から、町長選への出馬を求められたのだ。山本さんは一度、この突然の申し出を断った。府議時代の支持者も組織も、全員が反対だったからだ。

「僕にとって何の地盤もない笠置町長選に打って出て、受け入れてもらえるのか不安でした。府議も諦めなければならないし」

それでも有権者から何時間も説得され、最後は折れた。

「自分が出馬して、この町が少しでも前に進むんだったらと考えました」

出馬表明は告示のわずか1週間前だった。

「公約をポスターやチラシに書かないといけなかったんですが、驚くほどスラスラ書けました。議員の時にずっと笠置のことを考え続けてきた貯蓄が役に立ちましたね」

そして、約200票差で当選した。

公務員に戻れた安堵感と、突きつけられた現実

「正直に言うとね、不謹慎なんですけど、公務員に戻れたっていう安堵はありました。根っからの公務員ですから」

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