『たたき台の教科書』萩原雅裕(東洋経済新報社)
次は『たたき台の教科書』です。仕事では、「まず仮説を置く」「実現可能性を見る」「一度たたいてもらう」という場面が非常に多いです。
でも受験では、答案を30点の状態で先生のところに持っていって、「方向性だけ合っているか見てください」と採点してもらうことは、基本的にありません。最後まで解いてから提出します。
だから優秀な人ほど、「人に見せる=完成品でなければならない」と思ってしまう。この本は、その前提をひっくり返してくれます。
著者はこの本の中で、仕事のできる人ほど、あえて「叩かれるたたき台」を作っている、と語っています。早い段階で出せば、「そもそも方向が違う」という致命的な手戻りを早く発見できる。たたき台を他人にたたいてもらうこと自体が、仕事を前に進めるための方法なのだ、と。
この論で言った時に、高学歴の人に必要なのは、「100点を取る力」を捨てることではありません。「最初の10分で30点を作り、30点の段階で一度見せる力」を追加することだと言えます。この習慣が身に付くだけで、仕事の速度はかなり変わると思います。
100点でない自分を許せなくなっている人に
『不完全主義 限りある人生を上手に過ごす方法』オリバー・バークマン(かんき出版)
高学歴の人は、完璧主義になりやすいと僕は感じます。その理由はおそらく、長い間、「頑張れば点数が上がる」「努力すれば正解に近づける」という世界で評価されてきたからではないでしょうか。
80点を取れば、次は90点。90点なら95点。その繰り返しができる人ほど、難関大学にも合格しやすい。
でも、仕事には終わりがありません。企画書はもっとよくできます。メールはもっと丁寧にできます。会議の準備だって、やろうと思えば無限にできます。
『不完全主義 限りある人生を上手に過ごす方法』で、著者は「もっと効率的に」「もっと頑張らなければ」という発想そのものを問い直し、不完全さを受け入れることを勧めています。生産的に生きるとは、単に大量の仕事をこなすことではなく、本当に意味のあることに限られた時間を使うことではないか、と。
これは「手を抜こう」という話ではありません。「全部を完璧にする」という不可能な目標を捨てて、何を不完全なまま残すのかを自分で選ぶ、ということです。100点でない自分を許せなくなっている人には、この本はかなり効くと思います。




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