根拠なきポジティブ、最強の「万能感」
バブル世代の特徴として、よくいわれるのが、独特の「万能感」です。要するに、多感な若い時期に、右肩上がりの最高の時代を過ごしたため、「俺は、なんでもできる」「日本は、これからも大丈夫だ」という感覚を、今なお標準装備している人が多いのです。「あれもやろう、これもやろう」「これをやったら、きっと成功するよ」と、とにかく思考がポジティブな人がたくさんいます。
私の友人でいえば、青山学院大学を箱根駅伝の常勝校へ押し上げた原晋監督(1967年生まれ)がこの世代の典型ですし、侍ジャパンを世界一に導いた栗山英樹監督(1961年生まれ)も、世代的には一歩手前の「新人類世代」ですが、バブルの熱気をグラウンドで浴び、この素晴らしい万能感を共有している一人といえます。
この狂騒ともいえる消費志向の背景にあったのが、就職の「超売り手市場」です。1986年から始まったバブル景気は、学生たちに莫大な恩恵をもたらしました。ピーク時の1990年には有効求人倍率が1.46倍を記録。企業が学生に頭を下げて入社してもらう時代だったのです。
内定を出した学生を他社に渡さない(内定辞退を防ぐ)ため、企業が学生をまとめてハワイ旅行に連れていったり、温泉宿に隔離して「囲い込み」を行うのは、日常茶飯事。逆に、内定辞退を伝えた瞬間に、激怒した人事担当者から「うな重」を投げつけられたり、軟禁されていたホテルから非常階段を伝って脱走したり……といった、今では信じられないような武勇伝が、ゴロゴロ転がっていました。
「就活は最高の思い出」と振り返る人が少なくないのも、この世代ならでは。現在の有効求人倍率も数字上は高い水準にありますが、当時の「企業側が下手に出てくる態度」とは、文字通り、次元が違います。


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