しかし同時に、社会にはまだ、昭和の「男尊女卑」や「男は仕事、女は家庭」という価値観の残り香が強く、女性たちは過酷な二者択一を迫られることになります。
男性と対等にバリバリ働く「キャリアウーマン」の道を突き進むか、それとも若いうちに「寿退社」を選ぶか──。当時は、「25歳(25日)を過ぎたら売れ残り」と揶揄される「クリスマスケーキ理論」が真面目に語られていた時代であり、女性への社会的プレッシャーは、今より遥かに強烈でした。
トレンディーなボディコンから「美魔女」へ進化
その一方で、彼女たちは「消費社会の絶対的な主役」として君臨します。
高級レストランの予約をリードし、国内DCブランドやインポートブランドの流行を仕掛けたのは、ほかならぬ彼女たちでした。女性同士の海外旅行が一般化したのもこの頃で、美味しいものを食べるためだけに、週末の弾丸旅行で香港へ飛ぶOLたちで溢れていました。
浅野温子さん・浅野ゆう子さんの「W浅野」に代表される、女性ターゲットの「トレンディードラマ」が人気を博し、ドラマでのファッションやトレンディーな遊び場、BGMに使われた音楽が、そのまま社会現象になっていったのです。
夜になれば、ボディコン(ボディー・コンシャス)に身を包み、高級ディスコ「マハラジャ」へ繰り出す。そして、バブル崩壊直後の1990年代初頭には、伝説のディスコ「ジュリアナ東京」が、一世を風靡します。お立ち台で「ジュリ扇」(羽根つき扇子)を振り回して乱舞する女性たちの映像は、バブルの象徴として今もたびたび目にします。
驚くべきは、この時代にお立ち台でスポットライトを浴びていた彼女たちが、2010年代に「奇跡の40代」として世間を騒がせた「美魔女ブーム」の主役そのものだということです。時代が変わっても、ステージに乗せられるとド派手に輝いてしまうのが、バブル女性の性なのです。
恋愛市場においても、彼女たちの発言力は絶大でした。車で送り迎えをしてくれる「アッシーくん」、ご飯を奢ってくれる「メッシーくん」、高価なプレゼントをくれる「ミツグくん」など、男性を役割ごとに都合よく配置し、結婚相手には「3高」(高学歴・高身長・高収入)をマストで要求する──まさに、経済合理性が最優先される恋愛観でした。
しかし、この「選択肢が増え、理想が高くなった」代償として、この世代から未婚率が急上昇していくことになります。
彼女たちが30代後半を迎えた2003年、結婚していないキャリア女性を「負け犬」と定義した酒井順子さんのエッセイ『負け犬の遠吠え』(講談社)が大ベストセラーになったのは、非常に象徴的な後日談です。



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