他社のAI(人工知能)を利用して自社のAIを早く安く開発する行為、いわゆる「蒸留(ディスティレーション)」は悪なのか?アメリカ国内でこんな論争が起きている。
アメリカのベッセント財務長官は7月23日(中国時間)、ソーシャルメディアのX(旧Twitter)へ投稿し「オープンソースAIと、それがもたらすイノベーションを支持する」としつつも「オープンソースであることは、アメリカの知的財産を勝手に利用したり盗用したりしてよいということではない」と強調した。
エヌビディアCEO「オープンソースAIは規制すべきでない」
オープンソースとは、コンピュータのプログラムである「ソースコード」を公開し、誰でも利用、改良できるようにする仕組みのこと。ベッセント氏は中国のオープンソースAIがアメリカのアンソロピック(Anthropic)などのクローズドソースのAIから出力された回答データを学習に利用していると非難。こうした蒸留攻撃を大規模に継続した場合、知的財産権の窃取となり、アメリカ政府は制裁の発動や禁輸対象企業リストへの追加を検討する可能性があるとの認識を示した。
制裁や中国勢への対抗策としてオープンソースAIを規制するおそれが高まっていることに対し、シリコンバレーの各界から反対の声が相次いでいる。半導体大手エヌビディア(NVIDIA)のジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)はアメリカのニュース・サイトであるアクシオスの取材を受けた際、「中国のAIモデルは非常に優れており、優れたオープンソースモデルは使われるべき」と述べた。また、国家安全保障を理由にオープンソースAIの開発や利用を規制すれば、逆にアメリカ企業の競争力を弱めることになる、との見方を示した。
また、フアン氏は、OpenAIやアンソロピックが他のオープンソースAIを脅威と見る考えにも反対を表明した。オープンソースモデルは、より多くの人々が初めてAIに触れることにより市場が拡大する、との考えだ。


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