朝ドラ「風、薫る」が描く明治という時代は、コレラの恐怖と隣り合わせだった。ドラマの序盤で、ヒロインの一ノ瀬りん(演:見上愛)がコレラで父を亡くしてしまい、その時の体験が看護婦への道へと背中を押すことになる。
コレラについては実際に、文政5(1822)年に日本で最初の流行を経験して以来、幕末から明治にかけて度重なる大流行に苦しめられた。 明治政府になってからも、度重なる大流行に苦しめられる。
明治10(1877)年には8027人、明治12(1879)年には10万5786人、明治19(1886)年には10万8405人もの死者を出した。
まさに国家的な脅威であり、内務省が近代的な公衆衛生制度をほぼゼロから築き上げるきっかけとなったのも、このコレラだった。
暴走して死者まで出た「コレラ一揆」
コレラの大流行を受けて「コレラ一揆」まで勃発している。蔓延するコレラに対して「しっかりと対策をとってくれ」という抗議の一揆かと思いきや、そうではない。
政府はコレラ患者に対して、感染を防ぐために隔離政策をとったが、そのことに対して反対運動が起きたのである。
例えば、明治12(1879)年には、コレラによる死亡者を護送する巡査2名が襲撃を受けて、さらに、数百人の群衆が集まってきて、街中の米屋を次々と打ち壊し始めた。襲撃者たちは、コレラで死亡した人が入った棺桶で鐘を打ち鳴らして人を集めたというから、異様な光景である。


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