午後10時前になると、ろうそくに火を灯していく。中には割れたキャンドルグラスもちらほらとあるが「しみったれなんで、捨てられないんですよ」と神条さんは笑う。普通の店ならばあり得ないようなことでも、路上では「味」になる。それが屋台の面白さだ。
品揃えも、屋台ならでは。以前はビールやシャンパンも置いていたというが、ある時期から商品の種類を絞った。この日は、リンゴを原料とする蒸留酒の「カルヴァドス」とウイスキー、そしてラム。さらに「今日は毒薬もありますよ」と神条さんがささやく。せっかくなので、毒薬を注文してみた。
いつの間にか毛皮のような衣装を着込んだ、黒魔術師のような神条さんが、ジガーカップに妖しい色の液体を注いでいく。グラスの上に角砂糖を置き、混ぜながら飲んでみてください、と提供された。
ちなみにTWILLOでは、グラスの多くが「バカラ」。屋台だからといって手抜きをせず、本当に納得したものを揃えている。
リピーターに支えられつつ、近年はインバウンドも増えてきた
毒薬の名に負けないような強いアルコールと、今自分が立っている空間の不思議さにぼんやりしていると、2人連れのお客さんがやってきた。どうやら、リピーターの人が地元の友人を連れて来たらしい。その後も、2人連れが来店。こちらは近所で飲んだあと、SNSを見て8年ぶりに訪れたとのこと。
「前、代官山で営業していた時に来たことがあって。ものすごく不思議な空間で、お店の名前とバカラのグラスばっかり並んでいたことがすごく記憶に残っていたんですよ」
神条さんに聞けば、お客さんの比率は7対3でリピーターが多いという。その他、ここ数年で増えているのがインバウンドだ。
「ネットフリックスの番組で取り上げてもらったのが大きかったですね。ある日、突然シンガポールからお客さんが来て『取材させてくれ』と言われたんです。そこからどんどん外国人のお客さんが増えていきました。

